第32回(2011年) 吉川英治文学新人賞受賞。
突然死したアイドルに。癌で逝った母に。喧嘩したまま亡くなった親友に。失踪した婚約者に。
死者との再会を望むなんて、生者の傲慢かもしれない。間違いかもしれない。
でもー喪ったものを取り戻し、生きるために会いにいく。
-4つの再会が繋いだ、ある真実。新たな一歩を踏み出す連作長編小説。
たった一人と、一度だけーー死者との再会を仲介する使者
(ツナグ)・歩美を訪れた四人が秘める悲しいヒミツ。
喪われた想いの行方を描く渾身の連作長篇ミステリ。
アイドルの心得、長男の心得、親友の心得、待ち人の心得、使者の心得の5篇。
仲介する設定を使い生と死の意味と人と人との関わり合いの大切さを描いた傑作です。
最初の物語はちょっと軽めの感覚だったのですが、
一話ごとに死者に対する思いもその事情もどんどん深みを増して行って、
それに伴って私の涙腺も少しずつ刺激されて行きました。
収録された5篇はそれぞれ違うテイストを持っています。
使者に依頼に来るのは、亡き母への思慕や忘れられぬ恋人への想いを抱える人たち。
出会い交わってそれぞれが答えを探していく。
光を見出だす者もいれば、一層深い傷を刻み込まれた者も…。
特に衝動的な悪戯で親友を殺したと思い悩む女子高生が親友に会う「親友の心得」、
7年前に行方知れずになった恋人に会う「待ち人の心得」の2篇は、
登場人物たちの心の機微の描写が秀逸で感動的な内容なのでおすすめです。
連作短篇のかたちをとっているので読みやすいのですが、それ以上に
魅力的な内容に引きつけられてアッという間に読み終えてしまうこと請け合いです。
ラストの“使者”自身の話・使者の目線から見た話が特に素晴らしく、
この一章を膨らませればこれだけでまるまる一冊になりそうです。
先に語られた四つのお話は、最後の一章のための伏線だったような気にさえなります。
会って共に幸せになるのか、会う事自体が生者のエゴではないのか。
死者に会う事の「意味」までも深く考えさせる所まで持って行く技量に感心しました。
またタイトルの“使者(ツナグ)”役の男の子が魅力的に描かれているのも爽やかです。
心に傷があって少しナイーブででも変にささくれ立っていなくて真っ直ぐで優しくて。
心を「ツナグ」辻村深月さんの自分の心がとっても優しくなれた連作長編小説です。

楽天からも購入できます。
「ツナグ」辻村深月
「ツナグ」辻村深月
- http://1iki.blog19.fc2.com/tb.php/1994-7f7429f1
トラックバック
世の中がどんなにくさりきってしまっても、本屋にいけば最高の友達に出逢えます。
こんにちは。今週も「道下森の本棚」の時間がやってきました。
さて今日ご紹介するのは、この本。
辻村深月...
ツナグ辻村 深月 新潮社 2010-10 売り上げランキング : 66204Amazonbk1e-hon図書館by ヨメレバ私のおすすめ度 ★★★★☆ 最後の使者の話でうまく締めてありますね
辻村深月さんの小説を読むのは...
ツナグ(2010/10)辻村 深月商品詳細を見る
19日~21日。
あらすじも知らずに、確か話題になってたなぁ~と、
図書館から借りてきた。
わりと好きな辻村さんだし。
読み始めてみると、予想外の物語...
ツナグ(2010/10)辻村 深月商品詳細を見る
辻村さんです♪
奥付を見て、愕然としました。
yomyomに掲載していた作品なのですね・・・。
yomyom。
毎号「かわいい!」と思って買っているものの
自分...
大好きな辻村深月さんの作品。
最近は辻村深月さんと有川浩さん、上橋菜穂子さんが好きな作家になってます。
伊坂幸太郎さんも好きだけど、だんだん苦手になってきたかも…
辻村さんの作品でも好きじゃな...
図書館で借りました。
辻村さんは前から気になっている作家さんの一人です。
何冊か手元にもあるのですがかなりの厚さに手付かづのまま・・・。
死んだ人間と生きた人間を会わせる窓口、使者(ツナグ)。
それぞれの思いを抱き使者のもとを訪れる人のお話が一話完結...
こんばんは~。
お父さんのお誕生日でした、
みいるです。
私の憧れのベーシストと同じ日です。
久々にしゃぶしゃぶとすき焼きを食べ、
元気をもらいました^^
次はいつになるかな。
さて、
...
「もう一度、死んでしまった“あの人”に会いたい。」
ほとんどの人が、この気持ちを持っているのではないかと思います。
この私だって…
ツナグ(2010/10)辻村 深月商品詳細を見る
この喪失は永遠に取り...
死者と会わせてくれるという“使者”が登場する話です。 読み終わったあと、また読み返したくなりました。 死者が出てくる本を考えていたら、森絵都さんの『カラフル』を思い出しました。 一度死んでしまった「ぼく」が、ひょんなことから体を借りて再び下界で生活をするこ
引越し前に予約しようとして時間切れになった本。辻村作品を読みたいなぁと思ってて、こちらで再度手配。
ツナグ(2010/10)辻村 深月商品詳細を見る
生きている間に一度だけ、一人の死者と会うことができ...
第32回(2011年) 吉川英治文学新人賞受賞。突然死したアイドルに。癌で逝った母に。喧嘩したまま亡くなった親友に。失踪した婚約者に。死者との再会を望むなんて、生者の傲慢かもしれない。間違いかも...
死んだ人間と生きている人間を合わせる窓口-使者(ツナグ)。平凡で目立たないOL・
死んでしまった人にどうしても会いたい。そんな人と死者とを会わせる、ツナグと呼ばれ
こちらもトラックバックさせて頂きますね。
辻村さんは今年じっくり読んでみたい作家さんなので
他の作品の感想参考にさせて頂きます。
これからもよろしくお願いします。