この国は戦争に負けたのだそうだ。
占領軍の先発隊がやってきて、町の人間はそわそわ、おどおどしている。
はるか昔にも鉄国に負けたらしいけれど、戦争に負けるのがどういうことなのか、
町の人間は経験がないからわからない。
人間より寿命が短いのだから、猫の僕だって当然わからない――。
これは猫と戦争と、そして何より、世界の理のおはなし。
どこか不思議になつかしいような/
誰も一度も読んだことのない、破格の小説をお届けします。
ジャンル分け不要不可、渾身の傑作。伊坂幸太郎が放つ、10作目の書き下ろし長編。
出会った話す猫のトム君が「私」に語る、不思議な異国の物語。
戦争に負けた国では不安と猜疑心に駆られた民衆がクーパーの兵士の救助を願っている。
一見ファンタジーのようにも思えますが、実は現代の寓話のような小説です。
戦争・政治への批判、暴力への疑問、卑怯で賢く残忍な悪役など、おなじみの設定。
仲間内の猫ネットワークが独特で、人間では知り得ないような特殊な情報が入ったり、
逆に猫ならではの余計な視点が入って脱線したりして、翻弄されます。
途中、クーパーという怪物を想像したりと、混乱した頭を整理している間にも、
生まれるたくさんの謎を利用するかのように上手く仕掛が張り巡らされている物語。
社会問題や政治問題に、クーパー独特の世界感に加え、猫とネズミの関係に重ねていて
そのあたりは知識不足感や説教臭さがなく、納得しながら読むことができました。
ネット社会で世界中の情報をすぐに入手できる今日ですが、何が真実なのか。
どれだけ真実を知っているのか。何を信じるべきか、どう判断すべきかということ。
身近なことでも意外と見過ごしていることってあるんじゃないかと考えさせられます。
登場人物の頑爺、複眼隊長は大江健三郎さんの「同時代ゲーム」アポ爺・ペリ爺、無名大尉に由来。

楽天からも購入できます。

不思議な物語ですが展開も伊坂幸太郎さんらしく、最後には意表を突いてドッキリ。
トム君が可愛いくて、とても温かい物語。伊坂幸太郎さんが猫の生態に詳しいことに驚き。
伊坂幸太郎さんのファンでファンタジー好きで猫好きな私としてはとても満足しています。
少し不思議な世界観、ストーリー、テーマ、細かな伏線、読後感、全て良かったです。
期待通り、考えて楽しくてステキ。 読後は少し清々しい気持ちになれた1冊です。
「夜の国のクーパー」伊坂幸太郎さんの優しい人柄が小説に溢れていました。
楽天からも購入できます。

「夜の国のクーパー」伊坂幸太郎
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仙台市在住の人気作家が2年半近くかけて書き下ろした長編小説。手にすると404ページの厚みに圧倒されるが、読み手の意識に不思議な世界をつくり出す、飽きさせない仕掛けは精巧だ。架空の世界の出来事なのに、細かい描写や会話の内容は日常的で違和感がなく、ページ...
夜の国のクーパー(2012/05/30)伊坂 幸太郎商品詳細を見る
やっと読み終わった!!
感想はこちら⇒くりきんとんのこれ読んだ
久しぶりに読みました、伊坂幸太郎。
あまり好きな作家ではありません。この人が作品に織り交ぜてくるウンチクは正直うっとうしいですし、“オシャレに小説仕上げてみました”感がどうも苦手だなあ、と思っています。
でも現実社会でもそうですが、たまに嫌いで仕方ないやつに無性に会いたくなるのは人間のサガでしょ。
私なんて飲み屋で偶然嫌いな奴に遭遇したりすると、感動に打ち震えるときがありますね。
そ...
ふと気がつくと、森の中にいた。「一体ここはどこだろうか?」と、あたりを見回すと私の後にかかし男が立っていた。
「やあ、ようやくお目覚めかね」
かかし男は「へ」の字になっている口をうまく使ってしゃべっていた。
「ここはどこですか?」
「ここがどこかだなんて、意味があるのかい? 君が目をつむれば、世界は君の前から一瞬で消えてしまうんだ。」
僕は返す言葉が見つからず、腕時計に目をやった...
最近、図書館で借りる本に困ることが多いなー。
本についてあまり情報を仕入れられていないからですね~・・・。
新刊本とか、賞を取った本は多少わかるんだけど、そうした本は人気が高いのですぐには借りられません。ちょっと対策を考えないとね。本は生活必需品ですから。
初読み
なかなか読む時間がなかったのだけど…ようやく読了。
伊坂幸太郎さん
『夜の国のクーパー』
これは猫と戦争、そして何より、世界の秘密についてのおはなし
...
先日、仕事帰りに本屋さんにフラッと立ち寄ったらいつのまにか発売されておりました。
夜の国のクーパー伊坂幸太郎東京創元社発売日:2012-05-30
お財布の中身も確認せずに手に取り ...
夜の国のクーパー「夜の国のクーパー」の感想は「伊坂 幸太郎さんの本を読む」のこちらのページへどうぞ---------------------------------------------------------------- 紙飛行機ドットコム 伊坂 幸太郎さんの本を読む トップページ-----------------------------------...
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夜の国のクーパー(2012/05/30)伊坂 幸太郎商品詳細を見る
★★☆☆☆
伊坂さんならではの”会話の切れ”と”伏線の収束感”を
期待していたのですが・・・ん~残念です。
設定を空想話にした必然性も理解できませんでした。
■こんな人にオススメ■
・伊坂幸太郎さんの作品なら何でも好きな人
・ファンタジーと猫が好きな人
伊坂幸太郎著。
異世界へと紛れ込む「私」の立ち位置がいまいち分かりにくい。
あと、寓話的な雰囲気が強すぎてちょっと堅苦しいという印象。
猫とネズミのやり取りは楽しかったですけど。
夜の国のクーパー(2012/05/30)伊坂 幸太郎商品詳細を見る
これは猫と戦争と、そして何より、世界の理のおはなし。
この国は戦争に負けたのだそうだ。占領軍の先発
隊がやってきて、町の人間はそわそわ、おどおどしている。はるか昔にも鉄国に負けたらしいけれど、戦争に負けるのがどういうことなのか、町の人間は経験がないからわからない。人間より寿命が短いのだから、猫の僕だって当然わからない――。
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伊坂幸太郎著 2012年東京創元社刊行 敵国(鉄国)が攻めてきた。国民は言い伝えられている透明のクーパーの兵士が助けてくれるに違いないと信じているが...攻められてきた国に住む猫の目線で物語は進んでいく。大国と小国、猫と鼠、巨人と小人の関係は読む人によって思い浮
「伊坂幸太郎」の長篇作品『夜の国のクーパー(英題:Cooper In Nightland)』を読みました。
[夜の国のクーパー(英題:Cooper In Nightland)]
『火星に住むつもりかい?』に続き、「伊坂幸太郎」作品です。
-----story-------------
猫と戦争と、そして世界の秘密のおはなし。
目を覚ますと見覚えのない土地の草叢で、蔓で縛られ、身動きが取...
あったっておかしくない、あったらいいかも…といつも思わせてくれる伊坂作品ですが、
これもやはり、伊坂テイストに溢れたものでした。
中でも、この猫目線のお話は、意外な視点も入るから楽しく読み進む要素が増えますね。
独特の世界観を十二分に楽しめる作品でした。