経営していた会社も家族も失い、川辺の空き地に住みついた家具職人・東口。
仲間と肩を寄せ合い、日銭を嫁ぐ生活。そこへ飛び込んでくる、謎の女・奈々恵。
川底の哀しい人影。そして、奇妙な修理依頼と、迫りくる危険―!
たくらみとエールに満ちた、エンターテインメント長篇。
読売新聞夕刊連載。物語の前半は仲間たちとの交流をほのぼのとしたタッチで描きます。
ホームレスという社会の底辺の共同体の中での人と人の絆。
表現が上手で登場人物一人ひとりの言葉がじんわりと心に響くようなハートフルドラマ。
何事もなく日常生活を送ることのありがたさを感じながら読み進めることができます。
謎の女・奈々恵の登場以来、奇妙な災難が頻発。東口だけに見える疫病神。
それらの出来事で次第に自暴自棄になってゆく東口の心理がよく描かれています。
物語は登場人物たちの多面的な心の意外な内的描写とミステリーの意外性を融合。
ある事件をきっかけに唐突に急展開する終盤。畳みかけるような収束はさすがです。
伏線を見逃さず読み進んで、驚きの事実が明らかになる道尾マジックは健在。
ハーレキンとは道化師。人は誰しもハーレキンの一面を持っていると言えます。
社会で生きていくために必要な仮面。時に剥ぎ取られ素顔の自分と直面する場合が。
受け入れ背負う覚悟があれば笑って生きていける、そんな勇気をもらえた気がします。
既知の道尾秀介さんの世界観そのままに、希望を抱く事が出来る結末となっていました。
「笑うハーレキン」道尾秀介さんのファンは勿論、全ての読者好きに読んで欲しい一冊。
楽天からも購入できます。

「笑うハーレキン」道尾秀介
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ここ1週間の寒さは凄かったですね。 マイナスともなると、雪は軽くて、景色も綺麗で
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『笑うハーレキン』 著・道尾秀介 中央公論社 読売新聞夕刊の連載作品。 ・特設ページ http://www.chuko.co.jp/special/harlequin/index.html
笑うハーレキン(2013/01/09)道尾 秀介商品詳細を見る
家具会社の社長から一転、ホームレスになった主人公。
現在の絶望と過去の幸せを肩に背負い、隣には疫病神。
この疫病神、読んでいるだけなのに、
ふと振り返ったら私の後ろにいるんじゃないかと思ってしまうくらい(笑)
読み進めていくうちに、
疫病神のことや主人公の過去、色んなことが明らかになります。
悲しくなり...
ホームレス家具職人
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「笑うハーレキン」 道尾秀介 感想
経営していた会社を失い、息子を亡くし、妻と別れ、川辺の空き地に住み着いた家具職人・東口。ホームレス仲間と肩を寄せ合い生活する彼に、いつからか「アイツ」が付きまとうようになっていた。いつの間にか見慣れたアイツの存在を感じながら家具修理の仕事で日銭を稼ぐ毎日だったが、突然、奈々恵と名乗る女が押し掛け、弟子にしてくれと言い始める。そして奇妙な依頼が舞い込み...
道尾さんが高名な文学賞を多数受賞されている現代をリードする作家で
あることは存じていたが、これまで読んでいなかった。私の初・道尾作品。
3.11後に新聞連載され、「希望」がテーマのひとつになっているとのこと。
主人公はホームレスの家具職人の東口(ヒガシ)
取引先会社の倒産のあおりをうけて自社を倒産させた。
財産は工具とトラック一台だけ。
妻はその会社の元社長のもとに行った。
...
毎日毎日楽しみにしていた連載小説でした。
疫病神の存在は、この物語を面白くしてますよね。
ところで、TBの件ですが、私のブログに送信されてないようです。
もう一度TBの設定をしていただければ幸いです。