そこは人がほんとうに帰るべき場所なのだろうか?ふぞろいで歪つな4つの家族とそこに生きる人々。涙と冷酷と波乱を存分にたたえたエンタテインメント小説。風変わりなそれぞれの家族の形と繋がりを描いた家族小説短編集です。過去に何か傷を抱えている、いろんな距離の家族の絆を描いています。最終的にはどれもハッピーエンドになる話として描かれています。「at Home」「日曜日のヤドカリ」「リバイバル」「共犯者たち」の4話...
「このミステリーがすごい!2000年版」第10位!繊細な視線で描かれた物語が、心の奥底に潜むミステリアスな風景を呼び覚ます…。第16回小説推理新人賞受賞作「眠りの海」ほか「祈灯」「蝉の証」「瑠璃」「彼の棲む場所」の、5作品を収録した処女短編集。再読。作品全体に流れる優しい透明感の中、哀しくなるほどせつない短編集。いろいろな「失われたもの」「もう手に入らなくなってしまったもの」。いずれも大きな喪失を...
死ぬ前にひとつ願いが叶うとしたら…。病院でバイトをする大学生の「僕」。ある末期患者の願いを叶えた事から、彼の元には患者たちの最後の願いが寄せられるようになる。恋心、家族への愛、死に対する恐怖、そして癒えることのない深い悲しみ。願いに込められた命の真実に彼の心は揺れ動く。ひとは人生の終わりに誰を想い、何を願うのか。そこにある小さいけれど確かな希望―。静かに胸を打つ物語。再読。最後に1つだけ必ず願いを叶...
風向きが変わった。僕の頬を湿った風が撫でていった。風は梔子の香りを乗せていた…。二つの波長が共鳴するときに生まれる静かな組曲を、端正な筆致で綴る、瑞々しい感性にあふれた長編小説。「ある女性を守って欲しいのです」三年前に医大を辞めた「僕」に、脳神経学の教授が切り出した、突然の頼み。「女性といってもその子はまだ十四歳…。私が殺した女性の娘さんです」二つの波長が共鳴するときに生まれる、その静かな物語。『MI...