恋人なし、お金なし、趣味もなし――。派遣社員で人嫌いな主人公船山のぞみ32歳。街で偶然あった知人に、元カレのインドでの客死を聞き、さらに落ち込む日々を暮らす彼女だが、入院した祖母の家で見つけたご朱印の書かれた色紙を見つける。七福神のご朱印が揃ったはずの色紙には、しかし六つの神までしか書かれておらず、のぞみは祖母の快復を祈願し欠けている一つ「寿老人」を埋めるべく七福神めぐりをはじめるが――。 谷中、武蔵...
本田貴世、39歳、独身、作家。「三十代独身女性が奮闘する小説」の続編小説を書きあぐねていた。悪戦苦闘は男性経験の少なさゆえか。まずは取材と参加したのは「蕎麦打ち合コン・バツイチ編」男四人、女四人の会。しかし貴世は突然の蕎麦アレルギーになったのか、担ぎこまれて病院へ。倒れた時に手を握ってくれていたのは映像作家の福原。彼も取材だった。福原のDVDを観たことが貴世に何かをもたらした。「だいたい四十歳」の二...
「泥棒?」アパートに入ると、仕事道具の紙や画材が散らばり、キッチンは卵の殻がへばりついている。自分でやったこととわかっているが、それにしても…。生理前に必ず陥るこのパターン。イライラしたり落ち込んだり。でもこれもやっぱり自分なのだ―。彼や友人たちの理解を得ながら、生理を通して、自分を見つめなおしていく秀子。PMS(月経前症候群)と格闘する30代の女性を軽快に描く。三十歳を過ぎたイラストレーター。普通に...
「家、欲しいな」思わず呟いた自分の言葉に驚く三十代半ば、独身、アパート暮らしの長田真里。結婚相手を見つけるのでもなく仕事に成功するのでもなく、ひとりで心地よく暮らせる家を建てるのって、ありですか?従妹の友紀子や両親を始め世間の壁を越えることで見えてくる風景。「彼の宅急便」を併録。転落から動き出す物語。辿り着いたのは「自分の家」。周囲の反対。モデルハウスでのトラブル。限られる予算の現実。自分の考えや...