鳥になりたいと祈る老女。彼女に何をしてあげられるだろうか…穏やかに暮らす“主役”の生活に忍びこむ、ミステリアスな“脇役”たち。騒音とともに消えた女、真夜中に廃屋でひとり眠る少女、前世を占えると告げる美女―すべての謎が解決したとき、あなたの胸に浮かび上がる“脇役”の本当の姿とは?いつもは主人公のあなたも、他人の人生では、脇役。傍らに立ち、手を差し伸べるか、あるいは―。再読必至の連作ミステリー。明瞭な人物造形...
ニート、フリーター、サラリーマン、コンビニ経営者、学者。大学時代に気楽につるんでいた仲間は十年を経て、社会での立場を異にしていた。―同窓会を前に再会し、昔のように陽気にはしゃぐ五人。だがノリでやったサッカーくじの予想が的中したことにより、男たちは日常に穿たれた迷宮へとさまよいこんでゆく。使い捨てカメラと二人の女性、マヤ文明。交錯する情報。たくさんの要素があるのに、とても読みやすかったです。疑心暗鬼...
語り手の私、美園希実は、都会で独り暮らししている29歳のOL。出勤途中に知り合った青年、八木達哉と恋に落ちます。彼を尾行していた中年男に捕まった希実が知ったこととは。信頼して恋が始まってからの、うきうきした気持ちがよくわかります。その人の過去に何があったのかを詮索するのは野暮というもの。それから先の出来事がサスペンスタッチ。衝撃から思いが交錯し気持ちが混乱して何もできない希実(p234)。達哉が打...
イラストレーションはのりたけ、ブックデザインは鈴木成一デザイン室。小説現代単発掲載4編に書き下ろし2編を加えた短編集。バクの見た夢:会わずにいられない道雄と沙織里は、愛する家族を裏切らないために出した結論-どちらかの死から、互いに秘密で事故死になるよう、くわだてますが・・・。袋のカンガルー:世話焼きで依存されやすい性格の啓(はじめ)は、奇跡のような女神、英恵の誘いをきっかけに、自分の都合を優先させ...