寂しさを、ずっと誤魔化して生きてきたんだと思う…いろんな女性を愛したけれど、家族を持とうとはしなかった父。孤独を奥深くに抱き、家族を持つのが怖かった娘。白い木綿のような不思議な魅力に溢れる、衝撃のデビュー作!第6回小説新潮長篇新人賞受賞作。再読。一つの家庭に安住できない鞄職人の愛人の娘として育った主人公麻子。そのトラウマで家族を信じきれず普通の家庭を持つことに拒否反応を示します。剥き出しの心で不器...
作家Mは次の作品の構想を考えあぐねていたが、なんとなくただの飲み会になりつつあるのび太顔の編集者との打ち合わせでの苦し紛れの言葉から、デビュー作の登場人物の成長した姿を描く成り行きとなった。別れたばかりの恋人が慶応出身だったことから、主人公を慶応の学生に設定。別れたばかりの恋人に、取材させてくれる学生を捜してもらい、自分より10歳以上年下の青年たちに会いはじめる。虚構と現実がない交ぜになっていくな...
お金なんていらない。欲しいものはセックスだけ。自分にとっての男の価値は、生活や人生を守ってくれることではない。それは愛とは思わない。欲しいと求められて、はじめて自分の存在が必要とされていると思う。欲望こそ愛なのだ。AV業界の「なんでもあり」のなかのしぶとさや優しさを描く表題作ほか。 8つの短編小説集。登場人物や設定がすべて異なり、多様性があります。AV男優、AV女優、ホモ、痴漢、女子高生等々の主人...
大人の事情は複雑でいい加減でたちが悪い。大人じゃないから分かることも、いっぱいある。それぞれの事情を抱える、今どきの優等生でも劣等生でもない少女たちの姿を描く。渋谷区の公立中学に通う十四歳の尚美と絵麻。尚美は、三十歳の恋人と両親公認の交際をつづけ、絵麻は、母と二人きりの家庭に、息苦しさを感じている。いまどきの中学生のなにげない日常。そこには、瑞々しい感受性と自意識の世代が持つ、ちょっと大人な、せつ...