あんたと別れてもいいけど、あたしはさ、あたしと別れられないんだよね、一生。母譲りの躁鬱をもてあます寧子と寡黙な津奈木。ほとばしる言葉で描かれた恋愛小説の新しいカタチ。 ねえ、あたしってなんでこんな生きてるだけで疲れるのかなあ?過眠、メンヘル、二十五歳。人と人とがつながりにくい現代を生きるひとりの女の子の物語。芥川賞候補作。具体的な記述。適確な比喩。寝すぎて後悔する自意識過剰な主人公。中途半端な「あ...
「劇団、本谷有希子」の主宰を務めながら、後に映画化もされる『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』が第18回三島由紀夫賞候補になるなど、近年では小説分野でも大きく活動の場を拡げつつある著者、本谷有希子。本書は、彼女が小説家としてデビューするきっかけとなった処女短編集。東京でOLをしている「あたし」は、実家の部屋でひきこもっていた妹の江利子を母からの依頼で預かることになる。当初は相変わらずの生活を続けてい...
演劇と小説を舞台に2000年代カルチャーを縦横無尽に疾走する若手女流作家の長編。強烈な登場人物が醸し出す、新感覚の文学!。鬼才・本谷有希子の長編小説。人間は立ち直れるのか?。売れなくなった芸人の人生。希望よりも絶望することの方が、生きる力に溢れているという人間の性を描く。些細なことに苦悶し続ける元芸人の主人公。妙なリアリティがあります。平凡な人物の目線ならではの生活ネタがあちこちにあるのも独特。異...