笑って泣いて、人生が愛おしくなる家族小説。結婚して数年。どうやら自分たち夫婦には子どもが出来そうにないことに気づいてしまった妻の葛藤(「虫歯とピアニスト」)。16歳の誕生日を機に、自分の実の父親に会いに行こうと決意する女子高生(「アンナの十二月」)。53歳で同期のライバルとの長年の昇進レースに敗れ、これからの人生に戸惑う会社員(「正雄の秋」)。ロハスやマラソンにはまった過去を持つ妻が、今度は市議会議員選挙に...
二人は運命を共にし、男を一人殺すことにした。「わたしたちは親友で、共犯者」復讐か、サバイバルか、自己実現か——。前代未聞の殺人劇が、今、動き始める。望まない職場で憂鬱な日々を送るOLの直美。夫の酷い暴力に耐える専業主婦の加奈子。三十歳を目前にして、受け入れがたい現実に追いつめられた二人が下した究極の選択……。「いっそ、二人で殺そうか。あんたの旦那」すべては、泥沼の日常を抜け出して、人生を取り戻すため。わ...
英米ロックが百花繚乱の様相を呈していた70年代。世界地図の東端の、そのまた田舎の中学生・オクダ少年もその息吹を感じていた。それはインターネットが登場する遥か前。お年玉と貯金をはたいて手に入れたラジオから流れてきた音楽が少年の心をかき鳴らした。T・レックス、ビートルズ、クイーン…。キラ星のごときロック・スターたちが青春を彩り、エアチェックに明け暮れた黄金のラジオ・デイズ。なけなしの小遣いで買った傑作レコ...
中学二年生の名倉祐一が部室の屋上から転落し、死亡した。屋上には五人の足跡が残されていた。事故か?自殺か?それとも…。やがて祐一がいじめを受けていたことが明らかになり、同級生二人が逮捕、二人が補導される。閑静な地方都市で起きた一人の中学生の死をめぐり、静かな波紋がひろがっていく。被害者家族や加害者とされる少年とその親、学校、警察などさまざまな視点から描き出される傑作長篇サスペンス。 いじめがテーマなだ...