どんな禁令も、人の心は縛れない。新任の北町奉行・遠山景元の信頼厚い吟味方与力・高安門佑は、ある事件をきっかけに、お卯乃という元女郎を屋敷に引き取ることになる。口のきき方も知らず家事もできないお卯乃だが、話し相手としては悪くない。そう思いはじめた矢先、天保の改革が発布され、江戸の世情は一変した。遠山は南町奉行・矢部定謙とともに、改革を主導する老中首座・水野忠邦と対立する。そんな両奉行と門佑たちの前に...
夫を何者かに殺された藍染屋の女将は、同じような事情を抱える女たちと出会い……。女四人の活躍と心情を、気鋭が描く痛快時代小説。仇討ちに挑む四人の女。それぞれの愛憎の行方は…。楽しくも切ない、エンタテインメント時代小説。東雲屋の夫殺害の証拠をつかもうとする、紺屋(藍染屋)の紫屋の妻「環(たまき)」。洗濯婆の「おくめ」と、男相手の商売をしている色気の溢れた「お唄」を仲間に。そして、兄を殺した仇を探して東雲...
父の転勤に同行せず、神楽坂の祖母と暮らすことを決めた中学二年生の望。包丁も持てない祖母は面倒くさがりで、気が強くて、決して世話好きには見えない。でも「お蔦さん、お蔦さん」と誰からも頼られるような、不思議な吸引力を持っている。そんなお蔦さん目当てに人が集まってくるから望も何かと忙しくて…。お蔦さんや学校のみんなに振り回されつつも少しずつ成長していく望の、あたたかくて少しだけ波乱のある爽やかな日常。表...
弥五郎はお伊勢参りの案内役、「御師」の手代見習。そのくせ「御師は盗人」といってはばからない変わり者。ある日、弥五郎は日本橋の材木商・巽屋清兵衛が賊に襲われているところを助ける。それが縁で、清兵衛のお伊勢参りに付き合う羽目に。旅の道連れは妙に婀娜っぽいお妾さんや口やかましい下っ引きなど、たいそう賑やかな面々。道中の名物や景色もまた格別。だが、行く先々でなぜか清兵衛が狙われ、弥五郎自身にも伊勢を訪れた...