さまざまな肉を食べさせる店「百獣屋」は肉同様、多士済々の御助人が集う「御助宿」だ。ある日、剣の遣い手である百獣屋の居候、十四郎が武士に襲われた兄妹を助ける。彼らの父親は藩の内紛で殺され、兄妹はその敵討ちに上京したのだった…。長篇書き下ろし時代小説。コトバの響きを応用したタイトル。さらに御助宿という制度をこしらえて人情ものテイストが楽しめます。筆者は剣士でもあるとのこと。立会いの描写を味わえてよかっ...
日本橋の米問屋・島田屋が夜盗に襲われ、二千三百両の大金が奪われた。八丁堀の鬼と恐れられる隠密周り同心・長月隼人は、奉行より密命を受け、この夜盗の探索に乗り出した。手がかりは、一家を斬殺した太刀筋のみで、探索は困難を極めた。そんな中、隼人は内与力の榎本より、旗本の綾部治左衛門の周辺を洗うよう協力を求められる。だが、その直後、隼人に謎の剣の遣い手が襲いかかった――。著者渾身の書き下ろし時代長篇。同心・長...
武者震いを酒で抑え、修羅へ向かう老いたる刺客登場!本所相生(ほんじょあいおい)町の長屋に年頃の娘と住む安田平兵衛(やすだへいべえ)の許に、紙片が投げ込まれた。と記されたそれを見て、彼の顔がこわばった。十八夜とは四五九(じごく)屋、つまり地獄屋を意味する殺しの依頼だった。十年前に殺し稼業から足を洗ったはずなのに、今頃なぜ依頼が? 酒で全身に走る震えを抑え、再び剣を取る凄腕の老剣士を描く、冷酷にして情...
鶯の啼き声が聞こえたらしく、罪人は視線を庭先に投げた。その瞬間、わずかに首が伸びた。刹那、唐十郎の構えた五郎清国が一閃、頸骨を断つ音を残して黒い塊が飛び、首根から血が走った―介錯人野晒唐十郎の見事な据物斬りであった。が、これを契機に、唐十郎は盗まれた将軍家拝領の名刀を使った連続辻斬りに巻き込まれていく。血臭漂うニューヒーローの誕生。かなり血生臭くてびっくり。介錯人の世界を垣間見ることが出来ます。鬼...