直木賞受賞第一作! “恩田ワールド”全開のエンターテインメント長編錦糸町、川崎、上野、大阪、呉、六本木・・・・・・。日本各地の旧軍都に発生すると言われる「裂け目」。かつてそこに生きた人々の記憶が形を成し、現代に蘇る。鮎観の一族は代々、この「裂け目」を封じ、記憶の化身たちと戦う“力”を持っていた。彼女と同じ一族の遼平もまた、同じ力を有した存在だった。愛し合い結婚した二人だが、息子、俊平を産んだことから運命...
夏流城(かなしろ)での林間学校に初めて参加する光彦(てるひこ)。毎年子どもたちが城に行かされる理由を知ってはいたが、「大人は真実を隠しているのではないか」という疑惑を拭えずにいた。ともに城を訪れたのは、二年ぶりに再会した幼馴染みの卓也(たくや)、大柄でおっとりと話す耕介(こうすけ)、唯一、かつて城を訪れたことがある勝ち気な幸正(ゆきまさ)だ。到着した彼らを迎えたのは、カウンターに並んだ、首から折られた四つの...
坂道と石段と石垣が多い静かな街、夏流(かなし)に転校してきたミチル。六月という半端な時期の転校生なので、友達もできないまま夏休みを過ごす羽目になりそうだ。終業式の日、彼女は大きな鏡の中に、緑色をした不気味な「みどりおとこ」の影を見つける。思わず逃げ出したミチルだが、手元には、呼ばれた子どもは必ず行かなければならない、夏の城――夏流城(かなしろ)での林間学校への招待状が残されていた。ミチルは五人の少女とと...
空から謎の卵が降り、赤い犬が宙に浮かぶ−。東北の中心・S市で起きた奇怪な出来事。宇宙人襲来か、都市伝説か? 仙台出身の著者が放つミステリー集。『河北新報』掲載等に、書き下ろし「魔術師二〇一六」を加え単行本化。魔術師、ブリキの卵、この世はちょっと不思議、を収録した短編集。舞台は仙台です。奇妙な出来事を描く「ブリキの卵」、エッセイ「この世はちょっと不思議」を交互に載せ、最初と最後を物語「魔術師」で挟んだ...