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Author:藍色
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手塚治虫キャラクター図鑑〈4〉「リボンの騎士」と夢の王国・ファンタジー編
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風花 川上弘美
風花
装幀は清水栞。カバー作品は有元利夫。『すばる』掲載。
日下のゆりは33歳。結婚7年の夫・卓哉に恋人が発覚。
どうしたいのかわからない悩みを抱えて。
川上さん独特の筆致で切迫感や暗さはなく、修羅場もドロドロとは一線。
緊張感を保ちながら、移り変わる季節とともに過ぎていく穏かな日常を淡々と描きます。
最も身近なはずの夫への信頼が失われ、残されたよそよそしさ。
主人公、のゆりは受身でのんびりしてて思いはあやふやなまま。
対照的な鮮明に甦る過去が痛いです。
あまりにも煮え切れない態度に読んでて多少イライラ。
でも人との別れの決意って実際はこんな風にうろたえ迷い、
はっきりできないものなのかもしれません。
自分の気持ちを確かめることを少しずつ身につけ、ゆるやかに進んで迎えた結末。
決意に伴って体を満たす悲しみが辛かったです。
最後の「おなかすいた」に再起を感じられてほっとしました。
関連情報 川上弘美の読了本


川上弘美 | 【2008-05-08(Thu) 04:01:01】
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真鶴 川上弘美
真鶴
装丁は大久保明子。装画は高島野十郎「すもも」(画像との違いは文末で補足)。
「文学界」2005年2月号から2006年5月号初出。

主人公で語り手の柳下京(やなぎもとけい)は、母と娘、百(もも)との三人暮らし。夫、礼(れい)が十二年前に失踪し、文字を書く仕事で生活しています。文字を書かせる仕事の青茲(せいじ)が恋人です。東京駅で人と会った後、どうしてか東海道線に乗り、降りた真鶴(まなづる)で一泊。その後、海へ行きたいという百と再び真鶴へ。しばらく後、礼の日記に「真鶴」という文字を見つけ、みたび真鶴へ向かいます。

川上さんの独特の宇宙を旅したような印象でした。かおやからだをぜんぶあまさず、えがくことができる夫、礼のことを時折思い出し、忘れられずにいる京。遠い、近い、あたたかい、つめたい・・・距離と温度を始め、独特の感性で描かれる平穏な日常。その中で浮かび上がる夫、恋人、母、娘のさまざまな記憶。変わらない母親と対照的に、娘との距離の変化で抱く驚きや戸惑いや不安。
・・・そこに、失踪した夫の謎にまつわる、ミステリアスな“ついてくるもの”(女)を編み込んで、境界があやふやな空間:真鶴を舞台に繰り広げられる出来事。京と一緒に迷宮に入り込み、手探りで進んで行くうちに突きつけられる問い、そして答。その後に周囲との変わっていく関係を描いていきます。
「夜の公園」に続いて、不思議な魅力に惹きこまれて、最後まで目が離せない物語でした。時とともにいろんな人との関係が変わっていくことは、悲しいこともあるけれど、きっと新しい営みにもつながっていく・・ということを、教えてくれているみたいなラストが、印象的でした。

ページ冒頭の画像は中表紙の変形(?)です。実物は深い陰影のある、散らばったすももの静物画(油絵)。このカバーはそのまま1枚の絵で、タイトルと作者名が背表紙にあるだけの、素敵な独特の装丁です。ちょっと推理してみました。長い期間の独り語りで娘の名前が百なので、日付けなしの、京の日記というコンセプトなのかもしれません。
関連情報 川上弘美の読了本・・夜の公園 川上弘美


川上弘美 | 【2006-11-13(Mon) 04:04:46】
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夜の公園 川上弘美
夜の公園
装幀は中央公論新社デザイン室。
主な作品「物語が、始まる」「神様」「光ってみえるもの、あれは」「おめでとう」「椰子・椰子」「ニシノユキヒコの恋と冒険」「あるようなないような」「古道具 中野商店」など。
中央公論2002年9月号掲載後、2003年9月号から2005年6月号まで3ヶ月おきの連載。

主婦の中西リリは三十五歳。真夜中の二時半ごろ公園を歩きながら、申し分のない夫である幸夫が好きではないことに気がついた自分をいまいましく思っていました。ある日スーパーのレジで声をかけてきたのは、いつも真夜中の公園をマウンテンバイクで飛ばしている青年、暁(九才年下)でした。ふたりの関係が始まり、暁と会っている時に偶然、親友の春名と幸夫が待ちあわせた場所で鉢合わせしてしてしまいます。物語は、語り手をリリ、幸夫、春名、暁、リリ、幸夫、春名、暁、リリと変えながら進んでいきます。

川上さんは2冊目でした。むかし読んだ「ニシノユキヒコの恋と冒険」は、10のエピソードごとにいろんな環境・性格の女性が登場して、語り口も少し饒舌な印象でした。
でも今回は静かな独特の空気感が新鮮に思えます。男女間のことには疎(うと)い、そして縁が薄い私ですが、四人の男女の関係、それぞれが考えていること、意識や微妙な気持ちが繊細に、行動は大胆に描かれていて、あらためて魅了されました。
生徒のことを気にかけながら恋愛に積極的な春名さんの姿勢や、リリさんの意外な決断力の強さ、暁の兄・悟が引き起こす事件に驚いたりしているうちに物語が終っていたという感じです。
“ほろほろと秋が去るね”。
関連情報 川上弘美の読了本・・真鶴 川上弘美


川上弘美 | 【2006-06-16(Fri) 18:42:05】
Trackback:(20) | Comments:(25)
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