「おまえは俺のこと、見つけられるって」少女は踏み込んだ、愛と破壊の世界へ。「どうか私だけの神様になって」ファインダーを通して見ていたのは誰の秘密なのか。デビュー10周年記念書き下ろし作品。カメラマンを志す少女・黒江の半生を描く物語。幼児虐待、新興宗教、田舎の中高生の生態、人の生死、写真撮影、心療内科などなど。今までのような恋愛小説を期待していたので、予想外の雰囲気。島本理生さんの書かれたものは、ほ...
凄まじい緊迫感と密度に圧倒され息をのんだ。島本さんの地平はどこまで広がるのだろう。――山本文緒火照った躰の内側から滲み出す愛の不毛と孤独は、私を虜にした。――行定勲(映画監督) この小説を読むこと自体、胸をえぐられる恋愛をするのと同等だ。――西加奈子早く読んでほしい。でないと、この物語はそれ自体が持つ熱に溶けてしまいそうだから。――青山七恵〈あなた〉と〈私〉……名前すら必要としない二人の、密室のような恋――山本...
奇妙な恋、奇妙な幸せ。いびつで切ない下宿物語。大家の綿貫千鶴と入居者大和葉介、山岡椿、鯨井小春、真島晴雨。主人公が脇役にという連作形式でそれぞれの心の襞を丁寧に描き出していきます。冒頭は、軽快な青年の淡い恋心や大学進学のために上京した時の心境。 徐々に部活の先輩への想い、駆け落ち、 失恋、同性愛、カミングアウト、強姦、幼児虐待、親子愛と男女の愛等 重いテーマに移っていきます。コミカルな文やしっとりと...
恋人・降一を事故で亡くした志保。彼の母親が営む店を手伝う彼女の前に現れたのは、その事故の原因をつくった五十嵐だった。彼の存在を受け入れられない志保だったが、同じ悲しみを抱える者同士、少しずつ二人の距離が近づいていく…。「君が降る日」揺れ惑う志保の気持ちを繊細に描きます。結末はやるせなかったです。「冬の動物園」高校生の森谷君がしっかり者で好感。立ち直る美穂にスッキリしました。「野ばら」祐の想いに気づく佳乃...