![]() | シチュエーションパズルの攻防―珊瑚朗先生無頼控 (創元クライム・クラブ) (2008/06) 竹内 真 商品詳細を見る |
カバーイラスト・デザインは大塚砂織・水野哲也。「ミステリーズ!」連載と書き下ろし。
大学入学した了は叔母の店、銀座の文壇バー、ミューズでバイトすることになります。
ご贔屓のミステリー作家・辻堂珊瑚朗先生が、謎に推理を披露する連作短編集です。
シチュエーションパズル、質問を繰り返し手掛りを積み重ね謎に近づく過程を楽しむ。
難しそうです。ミステリーとしては、曖昧な結末の話が多い印象で、少し残念でした。
珊瑚朗先生のイメージは、北方謙三さんでした(お触り好きは、とても迷惑、笑)。
日常会話や「ダブルヘッダーの伝説」の隠されていた物語、気配りがよかったです。
サクサクと気楽に、面白く読めました。
目次:クロロホルムの厩火事/シチュエーションパズルの攻防/ダブルヘッダーの伝説
/クリスマスカードの舞台裏/アームチェアの極意
シチュエーションパズルの攻防―珊瑚朗先生無頼控 (創元クライム・クラブ)
竹内 真


装幀は多田一博。月刊ジェイ・ノベル掲載加筆訂正。
三十歳で離婚した佐緒里の引っ越し先に迷い込んだ子猫。
父の口癖は「くよくよ考えてる暇があったら、体を動かしな」。
心境を打ち明ける相手が一人もいない苦しさ、失意のどん底から
子猫プチの世話が這い上がる光になり、河田恵との出会いを発端に
「大切なものを守るための戦い」を。
事勿れ主義で波風立てずに生きてきた佐緒里。
動物禁止のマンション相手はわがままに思えて唖然としたり呆れたり。
でも心を動かして起きるいろんな変化が面白い。
弟・隆介や父母とのやりとり、恵との微妙な距離。
新しい自分を見つけながら、愛しい相手と一緒に生きようとする気持ちが
心を温かくして、清々しい読後感です。
人前で話す時は「斬りに行く!侍になる」。
そしてベントレーに乗りたくなりました。

カバーデザインフォーマットは辰巳四郎。カバー+本文デザインは板野公一。ブックデザインは熊谷博人・釜津典之。シリーズ15作目。
長野県・御柱祭。木落坂で一人の男が死亡。一ヵ月後、諏訪大社を訪れた桑原崇と棚旗奈々は奇妙な連続殺人に遭遇。多勢の人が跨り、引き摺られ急坂で落とし川を潜らせ、神とは思えない扱いの御柱祭。共に千二百年続く御頭祭の意味は?諏訪の七不思議とは?
諏訪地方の謎に果敢に挑んだ読み物として楽しめました。四神がらみは当り、動機は不明。それもまたこのシリーズの特徴かも(笑)。前作「九段坂の春」の崇の同級生、鴨志田翔一が再登場。キーマンの一人となって物語を動かします。決着が着いた後、一矢報いたのが健気。小松崎と一緒に「もっと言ってやって」でした(笑p304)。
関連情報 高田崇史の読了本
・・QED神器封殺 高田崇史
・・QED〜ventus〜御霊将門 高田崇史
・・QED河童伝説 高田崇史
・・QED〜flumen〜九段坂の春 高田崇史

カバーイラストレーションは浅沼テイジ。カバーデザインフォーマットは辰巳四郎。カバー+本文デザインは板野公一。ブックデザインは熊谷博人・釜津典之。シリーズ14冊目。連作短編集。
九段坂中学二年生の桑原崇が思いを寄せる聡明な理科教師・五十嵐弥生が突然の辞職。語り始める同級生の鴨志田翔一が事件に。棚旗奈々は雪ノ下女学院高等部一年。小松崎良平は明邦大学文学部社会学科一年で空手部新入生。御名形史紋は紀伊和歌山大学の大学院生。
それぞれの周囲で起こる怪事件。まだ面識がないのに不思議に繋がってしまう事件の精妙さに驚きました。崇が日本史にのめり込んだ理由、奈々が日本史に興味を持ち始めたきっかけや無意識のうちに嘘を見抜くこと、小松崎が嘘にくしゃみが出てしまうルーツ、御名形の鋭い観察眼など現在につながるエピソードが描かれています。
崇と五十嵐弥生、奈々と須藤真司、小松崎と江川優里との失恋。ほろ苦く切なくなりました。特に、いつも元気な小松崎にこんな過去が…可哀相でした。当時の風俗に懐かしさ。ドキッとする話(p56)や写真(p232)あり。意外な人物のリンクなどもあり、ちょっと京極堂シリーズを思い出したりして楽しめました。いつか棚旗沙織ちゃんのお話も読んでみたいです。

カバーイラストは浅沼テイジ。カバーデザインは板野公一。ブックデザインは熊谷博人・釜津典之。カバーオリジナルフォーマットは辰巳四郎。シリーズ13冊目。
富岡大学付属病院の薬局に勤める神山禮子(みわやまれいこ)住まい近くの、河童が住むといわれる強羅川。そこで手首を切り落とされた遺体が。さらに片腕を切り落とされた別の遺体が川に浮かび、連続殺人事件の様相を。
同じ頃、相馬野馬追祭に来ていた棚旗奈々と妹の沙織、小松崎良平は、一人で河童の里、遠野まで足を伸ばしていた桑原崇と合流。河童に隠された悲しい事実が解き明かされていき、事件の真相も明らかになります。
前作「QED〜ventus〜御霊将門」も踏まえて、河童の正体、言い伝えのあれこれの謎が明らかに。御名形史紋もついに東京に拠点を構えるため再登場。奈々と偶然の再会で連絡先を交換。事件について崇とまるで脳内会話のような、狛犬のような阿吽(あうん)の呼吸で会話を交わします。今回はかなり凄惨な場面も。

カバーイラストは浅沼テイジ。カバーデザインは板野公一。ブックデザインは熊谷博人・釜津典之。カバーオリジナルフォーマットは辰巳四郎。シリーズ12冊目。
暖かい春の日差しのなか、桑原崇と奈々、沙織の棚旗姉妹はお花見に出掛けます。ところが靖国神社から、いつしか日本三大怨霊として畏怖され続ける平将門の名所行脚へと一転。築土神社、神田明神、将門首塚からはじまり、茨城県そして成田山までを巡りながら、今回も崇(タタル)が膨大な蘊蓄と推理で歴史の謎を少しずつ解き明していきます。
将門首塚の描写の手前から、志望が叶って成田にある大学付属病院の薬局に勤め始めた神山禮子(みわやまれいこ)が、前々作「QED〜ventus〜熊野の残照」、前作「QED神器封殺」に続いて三度(みたび)登場。出入りする製薬会社の営業マン安岡が胸に秘めていたことは?。そして禮子に迫る危機を平行して描きます。
怖れられ、奉られている平将門の意外な人物像。知られざる真の姿。「繋馬」の家紋が示唆する驚愕の真実から桔梗の謎、昭和の闇まで、多岐にわたる展開がスピーディ。今回も奈々ちゃんの何気ない思いつきの一言がタタルの脳細胞を刺激して、新しい見解が生まれます。タタルに奈々の気持ちが伝わるのは、いつのことでしょう・・。
終盤のサプライズは、なんだか良くわからないままに流れてしまった感じでした。小松崎良平は最後にちょっとだけ顔を出し、御名形史紋は出番なし。次回作はまた神山禮子が登場して、すでにレギュラー!?(笑)。奥付けで宇山日出臣氏の訃報がありました。メフィスト賞の立役者だったので、カバーデザインの故・辰巳四郎さんも含め、ちょっとさびしいですね。

装画・装幀は塚本やすし。書き下ろし。
入学式前に拾った子犬の貰い手を探して…。
空沢高校ワンダーフォーゲル部の部員犬ワンダーと生徒たちとの
心温まる10年間の交流の物語。
ワンダーを飼うため弱小ワンゲル部に入部する甲町源太郎、
顧問の温厚な大地先生、憎まれ役の堂本教頭、
初の女子部員知草由貴、好奇心旺盛な矢代一恵。
時の流れの中、ワンダーを通してさまざまなことを学び
自主的に行動する生徒たちが眩しく羨ましかったです。
作中にちりばめられたワンダーの動作が魅力的で、とても愛しくなりました。
最後の同窓会の場面では各人の語る夢に感動です。
わくわくしたり感心したり、ワンダー萌えしちゃったような(恥)、
楽しく爽やかな読後感でした。
関連情報 竹内真の読了本
・・ビールボーイズ 竹内真

装幀は水野哲也。カバー・本文イラストはフジモトヒデト。
ビール工場の閉鎖で転校した茜を惜しむ正吉、広治郎、勇、薫。
北海道の新山市。四人の仲間の十二歳から三十歳までの成長小説です。
ビール祭りごとに集まる四人。
それぞれ自分なりの考えを持ち進路を決め、
成長していく様子が生き生きとしてます。
育った場所への愛情、地ビール製造への情熱。
年を重ね違う立場になってもずっと繋がっている仲間。
深い信頼関係を丁寧に描いて好感が持てました。
各章ごとのビールコラムにも感心しました。
300頁超上下段もあっという間の面白さ。爽やかな友情が素敵な物語でした。
関連情報 竹内真の読了本
・・ワンダー・ドッグ 竹内真

カバー&本文イラスト&ピンナップは垣野内成美。装幀は、かとうみつひこ。
書下ろし。薬師寺涼子シリーズ八作目。
文中に人物紹介もあり、ここからでも混乱せず読めると思います。
主役は、警視庁刑事部参事官の警視、薬師寺涼子27歳、部下で語り手の泉田警部補。
来日したメヴァト王国の第二王子・カドガ殿下の外務大臣への要望で、
涼子は巨大テーマパーク:ザナドゥ・ランドの貸し切り権を譲渡。
招待を受けた二人の目前で人気キャラ「半魚姫」に扮した美女に襲われる殿下。
豪雨の中、桜田門で半魚姫と破壊美神が対決!。
前半政治への皮肉や風刺の多さに食傷気味。
とはいえ先の読めないスピーディーな展開は健在。
サリー・ユリカ・トルシガン、恐るべき身体能力のゴユダに
決然と挑むお涼様が素敵です。
決着持ち越しが爽快さを低めて少し残念。でも面白かったです。
ラブコメ好きなので、結末「ゴホウビは(中略)前渡し」で80頁に戻ってにっこり。
関連情報 田中芳樹の読了本
・・霧の訪問者 薬師寺涼子の怪奇事件簿 田中芳樹

装丁は片岡忠彦。書き下ろし。
異世界の町、穏に住む少年・賢也は姉の失踪後、物の怪「風わいわい」に取り憑かれます。ある秘密を知り町から逃れた先には…。
穏の慣習、雷季、風わいわい、墓町、闇番、鬼衆など魅力的な設定。穂高や遼雲など生き生きとした登場人物。加えて丁寧な風景の描写に、穏で暮らしているような気分に。残酷な場面もありましたが先が気になって読み進みました。賢也がどうなるのか、結末まで飽きさせない展開。ホラー、ミステリー、冒険といろいろな要素を含んだ異世界伝奇ファンタジー。この物語も幻想的で美しい世界観。伏線の回収も上手で面白かったです。
迷子の時は風わいわいに案内してほしいです(危険?笑)。早田浩司の正体?が気になります。
関連情報 恒川光太郎の読了本
秋の牢獄 恒川光太郎
夜市 恒川光太郎

