マルキ・ド・サドをもじって名づけられた、書籍編集者の鳴木戸定。 彼女は幼い頃、紀行作家の父に連れられていった旅先で、誰もが目を覆うような特異な体験をした。 その時から、定は、世間と自分を隔てる壁を強く意識するようになる。 日常を機械的に送る定だったが、ある日、心の奥底にしまいこんでいた、自分でも忘れていたはずの思いに気づいてしまう。 その瞬間、彼女の心の壁は崩れ去り、熱い思いが止めどなく溢れ出すのだっ...
大阪、ミナミの繁華街―。夜の街に棲息する人々の、懸命で不恰好な生き様に、胸を熱くする力作誕生。表題作とそのアナザーストーリーにあたる「タイムカプセル」の二編収録。表題作はキャバレーの呼び込み吉田(40歳)とチーママみさを(29歳)の物語。「タイムカプセル」は表題作で脇役だったオカマバーのママミミィ(44歳)の物語。男性「吉田」の立場と女性「みさを」の立場とを交互に描きます。ピュアに恋をしていくとこ...
みんな、それぞれで生きている。それでいい。圧倒的な肯定を綴る、西加奈子の柔らかで強靱な最新長編。女優宮崎あおいさんが以前NHK「あさイチ」で紹介してた本、お気に入りの作家さん。北陸のある漁港近くの焼肉店に勤める38歳の女性。本名は「菊子」なのですが、その姿形で客達からは「肉子」ちゃんと呼ばれています。小学校高学年になる娘は母親には似ても似つかない程ほっそりとして、ぱっちりの目。なぜか母親は娘に読み方...
世間の“当然”に立ち止まり、悩み考え成長する物語。うるさいぼけ。なにがおもろいねん。平凡やしあわせに反発する琴子、小学3年生。好きな言葉は、「孤独」。三つ子の姉をはじめ大家族に愛されて暮らす小3の琴子は口が悪くて少し偏屈。きらきら光る世界で考え悩み成長する姿を描く感動作。前半は個性的なこっこと同級生や家族との関係を短い文で書いていきます。こっこの考えは誰もが一度は経験したり、感じたりしたことがあるも...