痒み止めの新薬「王疹膏」を売り出していた瓶屋の主人、新兵衛が斬り殺された。本所深川の同心・平四郎は、将来を嘱望される同心の信之輔と調べに乗り出す。検分にやってきた八丁堀の変わり者“ご隠居”源右衛門はその斬り口が少し前に見つかった身元不明の亡骸と同じだと断言する。両者に通じる因縁とは。『ぼんくら』『日暮らし』に続くシリーズ第3作。本所深川の同心と、その養子息子の捕物帳。長編の「上下巻」もの。井筒平四郎...
江戸で小間物商を営む佐一郎・お志津の若夫婦は、箱根湯治の帰途、雨のために戸塚宿で足止めになった。そして、やはり足止めの老女との相部屋を引き受ける。不機嫌なお志津をよそに、老女の世話を焼く佐一郎。その夜、風の音に混じって老女のすすり泣きで目を覚ました佐一郎に、老女が語り出したのは、五十年前の奇怪な出来事だった…。表題作はじめ6篇を収録。収録の「お文の影」では、『日暮らし』の岡っ引き・政五郎とおでこの三...
さあ、おはなしを続けましょう。三島屋の行儀見習い、おちかのもとにやってくるお客さまは、みんな胸の内に「不思議」をしまっているのです。ほっこり温かく、ちょっと奇妙で、ぞおっと怖い、百物語のはじまり、はじまり。既読既記事「三島屋変調百物語」の続編です。後を絶たない、不思議を語りたがる人々。 前作に引き続き、お化けよりも妖怪よりも奇っ怪な人間の百物語に引き込まれます。過去の忌まわしい出来事を引きずってい...
物語のすべてが詰まった700ページの宝箱。もう会えないなんて言うなよ。あなたは思い出す。どれだけ小説を求めていたか。ようこそ。3年ぶり現代エンターテインメント。700ページありとても長い作品ですが、その長さには無駄がありません。ちなみに本の装丁になっている場所は小湊鉄道の飯給駅(画像合成)だそうです。念願のマイホームに築33年の怖ろしく古い家を選んだ風変りな両親。さびれつつある商店街の中にあって、...