泣き叫ぶことしかできなかった、あの朝。二度と大切なものをなくさないように、あたしは強くなりたい。「生きて、生きて、生きぬくんや!」1995年、神戸市長田区。震災で両親を失った小学一年生の丹華(ニケ)は、兄の逸騎(イッキ)、妹の燦空(サンク)とともに、医師のゼロ先生こと佐元良是朗に助けられた。復興へと歩む町で、少しずつ絆を育んでいく四人を待ち受けていたのは、思いがけない出来事だった―。少女の強く切なる祈りが...
「それが、それだけが、私の唯一の望み──」ある一つの望みを未来に託し、ジョルジュ・サンドは永遠の眠りにつく。その昔、彼女は滞在していた古城で美しいタピスリーに魅入られた。そこに描かれた貴婦人が夜ごとサンドの夢に現れ、震える声で語りかける。「お願い、ここから出して」と──。「貴婦人と一角獣」に秘められた物語が今、幕を開ける。■『楽園のカンヴァス』で山本周五郎賞を受賞したアート小説の旗手・原田マハの書き下...
待ったなしの日本にさっそうと現れた―史上初の女性総理、わが妻・凛子、君を守る!山本周五郎賞作家が贈る、政界エンターテインメント&夫婦愛の物語。 20XX年、相馬凛子は42歳にして第111代総理大臣に選出された。夫である私・日和は鳥類研究家でありながらファースト・レディならぬファースト・ジェントルマンとして、妻を支えようと決意する。凛子は美貌、誠実で正義感にあふれ、率直な物言いも共感を呼んで支持率ばつぐん...
こんなうまい米、はじめてだ! 驚いた引きこもりは、病気のばあちゃんのため米づくりへ一直線。それは自分を取り戻す旅だった。 いじめを受け、ひきこもりだった麻生人生。蓼科でひとりぐらしを続ける人生の祖母、中村真麻。対人恐怖症の中村つぼみ。田んぼから三人は前をむいて歩み始めた―。収穫のとき、それぞれの心に温もりが実る。山本周五郎賞作家が描く感動の成長小説。いじめが発端で引きこもりだった人生。養父実母を失い対...