
装幀・装画は池田進吾(67)。
初出・第一章『文藝』2005年冬号・2006年春号、第二章・第三章書き下ろし。2年ぶりの長篇小説。
・第一章―みずうみのほとりの村。一家に一人眠り続ける人。月に一度コポリ、コポリと音を立てみずうみと眠る人たちからあふれる水。村人が聞く物語。ある日商人が訪れて。
・第二章―月に一度、体が膨張して水を放出するタクシードライバー。ある女性との再会で起きるいろいろな変化。
・第三章―松本に住む園子と慎二、ニューヨークに住むボニーとダニエル。ボニーは慎二の小説のアメリカでの翻訳者。園子は妊娠して…。各人が不思議な体験を。
久しぶりのいしいワールド。インスピレーション豊かなみっつのバリエーション。ファンタジー・ライトホラー(?)・ドキュメンタリーとタッチを変え、独立した物語でありながら共通するいくつかの言葉。エントロピーがつながることに驚きも。広がるイマジネーションの世界に浸り漂いました。
たぶん湖でなくみず・うみ。それは水・みずから(自ら)のみず・海・生み・産み。そして、生きることの倦み(くたびれ)、膿み(たまった弊害)、熟み(上達・よい頃合い)も隠されていたのかも。
関連情報 いしいしんじの読了本
・・雪屋のロッスさん

装丁はchutte。
2000年「ぶらんこ乗り」でデビュー。03年第二長篇「麦ふみクーツェ」で坪田譲治文学賞受賞。04年第三長篇「プラネタリウムのふたご」が三島由紀夫賞候補。主な作品「トリツカレ男」「絵描きの上田さん」「白の鳥と黒の鳥」「ポーの話」など。
「ダ・ヴィンチ」2002年11月号から2005年4月号まで連載。
自分の仕事や役割に誇りを持つ、さまざまな人や“もの”、30の物語。
出来事に向き合う姿を、1編わずか6ページから2ページで描きます。
切なくなったりほのぼのしたり、唖然としたり笑えたり、憤ったり呆れたり。
万華鏡のように千変万化する物語に、いろんな感情が呼び起こされました。
いしいさんはむかし「プラネタリウムのふたご」まで読んでいました。
独特の濃厚な世界に魅了された一方で、
1冊に通常の5倍位時間がかかるため敬遠。
でも、あちこちのブログで見かけて気になっていた、この本。
再読しない私が再読したくなる不思議な魅力を持つ、
上質で、心に余韻を残すファンタジーでした。
たぶん、再読のたびに印象、好きな物語は変わることでしょう。
31番目の物語を自分の仕事で妄想したりしました。
でもイマイチ面白くなかったです(想像力が貧困、笑)。
誕生日にふさわしい、大好きな1冊になりました(年齢は聞かないで、笑)。
本日10月31日は、欧米ではハロウィンという子どものお祭りの日だそうです。
今年もあと2ヵ月。
年の瀬も一区切りですが、日々何か楽しみを見出しながら、
みなさまの支えを糧に、精進していきたいです。
関連情報 いしいしんじの読了本
・・みずうみ いしいしんじ
