![]() | 非正規レジスタンス―池袋ウエストゲートパーク8 (2008/07) 石田 衣良 商品詳細を見る |
写真は新津保建秀。装幀は関口聖司。初出「オール読物」。
池袋のトラブルシューター、真島誠の活躍を描くIWGPシリーズ八作目です。
今回はシングルマザーや派遣労働など、格差社会の題材が目立ち、重めでした。
低賃金やピンハネで、底辺から抜け出せない人々の苦しみが辛いです。
一番目のは、おふくろの意外な一面や、マコトの生い立ちがわかって感心しました。
「非正規レジスタンス」、マコトはフリーターのサトシから、雇用の実情を知ります。
人材派遣会社に申し立てしたユニオンのメンバーが襲撃され、サトシも怪我を負います。
サトシが自分を励まそうと、ノートに綴った言葉が切なかったです。
怒るマコト、Gボーイズの王様タカシ、メイド服の代表モエの連携が鮮やかでした。
リアル感が増して、今後のシリーズ展開がどうなるのか楽しみです。
目次:千川フォールアウト・マザー/池袋クリンナップス/定年ブルドッグ/
非正規レジスタンス
非正規レジスタンス―池袋ウエストゲートパーク8
石田 衣良


装丁は片岡忠彦。装画はクサナギシンペイ。新聞連載+書き下ろし。
主人公の中道良太は25歳で普通の公立小教師。
教室から逃げる生徒、教師間のいじめ、生徒の自宅放火疑惑…
クラスや学校で1年間に起こるトラブル。
スマートに対処できないコンプレックスを持つ良太を、
同世代でクールな隣の担任の染谷龍一が評価。
アドバイスや場に応じた言動でサポート。直面する問題の解決に取り組みます。
互いに認め合い協力するふたりのコンビネーションが素敵です。
各章の中途半端な結末やリアリティ不足に不満。
でも記者会見での言葉に痺れて涙。クラス競争の顛末で下がる溜飲。
生徒の気持ちを考え、持ち前の元気さ誠実さで一生懸命に頑張る良太が魅力的です。
あたたかい読後感。続きを読みたくなりました。
関連情報 石田衣良の読了本

カバー・目次写真は新津保建秀。装幀は関口聖司。
オール讀物2006年3月号〜2007年1月号に不定期掲載。IWGPシリーズ第7弾。
要町テレフォンマン:被害者の自殺で振込詐欺グループを抜けたい高槻陽児。
詐欺師のヴィーナス:絵画商法のセールスレディの真意を確かめたい今泉清彦。
バーン・ダウン・ザ・ハウス:放火の前科を持つ水谷祐樹と連続放火魔探し。
Gボーイズ冬戦争:マコトの俳優デビューとグループのナンバー2ヒロトの内紛。
主人公で語り手のトラブルシューター真島誠(マコト)、Gボーイズのキング安藤崇(タカシ)、氷高組渉外部長のサル斉藤富士男、池袋署生活安全課の刑事吉岡。Gボーイズや礼にいに頼りがちだった前作。今回はマコト一人だけの解決や周囲との関わり方も明確。若々しさの勢いは薄れても、落ち着きを得てたくましく成長。
表題作、大学の頃、映画研究会で自主制作映画を作ってたので懐かしさが。繰り返しのリハーサルは付き物です(笑)。あらすじは「4TEEN」?(p161)。タカシの危機に立ち上がるマコトの熱い心意気にどきどき。「なめるな、タカシ」から始まるマコトの台詞にシビレました(p187)。初期の頃、過去の人物の再登場で話に面白さが増していたことを思い出しました。アイデアを練り計画を立てるにはクラシックを聴きながらがいいのかも。綺麗すぎる解決は今回もファンタジーっていう見方でクリア。楽しみました。
関連情報 石田衣良の読了本
・・灰色のピ−ターパン−池袋ウエストゲートパークVI 石田衣良

カバー・目次写真は新津保建秀。モデルはKOTAO。装幀は関口聖司。
オール讀物不定期掲載の4つの連作短編を収録。通称IWGPシリーズ第6弾。
池袋西口公園前の果物屋の店番(息子)でクラシック音楽を愛し、
ミニコミ紙にコラムも書いているトラブルシューター、
主人公で語り手の真島誠(マコト)が持ち前の機転の良さと
知人のネットワークを駆使して、舞い込む難題に立ち向かっていきます。
灰色のピ−ターパン:
小学5年生で非合法ビジネスで稼いでいる稔から恐喝への交渉を頼まれます。
その先には、マッドドッグと呼ばれる手強い男が。
野獣とリユニオン:
路上強盗で兄の足を壊して調理師の仕事をできなくした未成年(ケダモノ)の
男の足を壊すように妹の千裕から持ちかけられます。
駅前無認可ガーデン:
無認可保育園の園長をしている先代キングから、誤解されやすい見習い保育士が
危険でないことを証明する依頼を受けます。
池袋フェニックス計画:
健全な街の再生が名目の、警察の外国人と風俗店摘発にうさん臭さが。
一方、風俗に行った姉・和美を救いたい妹・郁美の依頼を受けることに。
石田さんは「池袋ウエストゲートパーク」シリーズ、「娼年」「波のうえの魔術師」
「4TEEN」「東京DOLL」「アキハバラ@DEEP」「ブルータワー」などを読んできました。
すでにおなじみのメンバー:北東京一のハッカーで池袋の情報屋のゼロワン。
池袋の少年少女たちのチーム、Gボーイズの王様で冷厳を身にまとうキング安藤崇。
元いじめられっ子で関東賛和会羽沢組系氷高組の渉外部長のサル。
池袋署生活安全課の万年平刑事の吉岡。
幼なじみで池袋署の署長の礼にい、こと横山礼一郎警視正−
とのやりとりや協力関係を得て、マコトは物語を進めていきます。
難題の解決は綺麗すぎる気もしますが、このシリーズはそれでいい、
むしろフィクションとしての楽しさ、最善をつくせた場合のファンタジーという見方をしています。
書き方によってはいくらでも「LAST」や「池袋ウエストゲートパーク外伝・赤と黒」のような
暗黒(ノワール)な話にできるので。
石田さんの作品は読んでいる時は夢中になれるのに、
あとで思い返そうとすると忘れてしまっているのが自分でも哀しかったりしてたので、
ブログが思い出すのに役立つといいな、と考えてます。
印象に残った言葉:着実に、忍耐強く、賢くあれ。そうして、男らしく困難を克服せよ(p42)。
関連情報 石田衣良の読了本
・・Gボーイズ冬戦争―池袋ウエストゲートパーク7 石田衣良

