刑事にわからなくても、おれにはわかるんだよ――29年の看守人生が見抜いた「死体なき殺人事件」の真相とは。表題作他、短編の名手が絶妙の罠を仕掛けた、人生の一瞬を切り取る渾身の物語。いつか刑事になる日を夢見ながら、留置管理係として過ごした近藤。まもなく定年を迎える彼は、証拠不十分で釈放された容疑者の男を執拗に追う。マスコミを賑わした「死体なき殺人事件」の真相を見抜いたのは、長年培った「看守の勘」だった。...
1985年、御巣鷹山に未曾有の航空機事故発生。地元紙の遊軍記者、悠木和雅が全権デスクに任命される。一方、共に登る予定だった同僚は病院に搬送されていた。組織の相剋、親子の葛藤、同僚の謎めいた言葉、報道とは。あらゆる場面で己を試され篩に掛けられる、著者渾身の傑作長編。 JAL123便墜落事故。地元新聞を中心に葛藤や謎をめぐる物語。 新聞社の内幕は、体験者ゆえに語れる挿話で満載です。性格や背景を含め、人間...
F県警捜査第一課が遭遇する難事件の数数。あやふやなアリバイこそが実は鉄壁のアリバイになりうるという、容疑者の仕掛けた狡猾な罠に挑む「沈黙のアリバイ」等、警察小説の白眉!再読。理詰めの朽木、冷徹の楠見、勘の村瀬。三人の班長中心の短編集。各編ごとに各班がクローズアップ。三者三様の仕事振りを描きます。個性的なキャラクター、二転三転するスリリングな展開。各班の交差。濃厚な人間模様。意外な真相を暴く男達の矜...
辛辣な物言いで一匹狼を貫く組織の異物、倉石義男。その食らいつくような貪欲かつ鋭利な「検視眼」ゆえに、彼には終身検視官なる異名が与えられていた。組織と個人、職務と情、警察小説の圧倒的世界。短編集。各編それぞれ主要登場人物の視点で進みます。 客観的描写で謎めいたイメージ。倉石の推理が凄いです。上手な伏線。巧みなトリック。悲喜こもごもの人間ドラマ。現場に臨む臨場。横山秀夫さんのハードボイルド。面白かった...