夏期限定トロピカルパフェ事件、米澤穂信

イラストレーションは片山若子。
「春期限定いちごタルト事件」に続く小市民シリーズ第２弾。第一章、第二章はそれぞれ「ミステリーズ！」vol.13、vol.14に掲載。それ以外は書き下ろし。
前作の「春期限定」を先に読んでおくことをおすすめします。

船戸高校２年生の主人公で語り手のぼく、小鳩くんは、ともに中学での手痛い経験を踏まえて、恋愛関係も依存関係もない、互いを言い訳に使う互恵関係を同級生の小佐内さんと結び、平穏に暮らす小市民を目指しています。
甘いものをこよなく愛する小佐内さんは、夏休み初日、小鳩くんの家にお菓子屋さんマップと“小佐内スイーツセレクション・夏”と題した一覧表を持参。一緒に食べに行くよう促されます。不可解ながらも同意した小鳩くんでしたが・・・。

「ミステリーズ！」掲載分の始めのシャルロットは倒叙もので、狐の知恵が狼の執着心に勝てるか興味津々でしたが、惨敗にあぜん。使い方を間違えた部分は気がつきませんでした。
次のシェイク・ハーフは暗号もので、見方がわからなかったので解けませんでした。そして激辛大盛タンメンで、堂島健吾から聞かされた不良グループの存在がクローズアップされて、後半の小佐内さんが渦中の人となる事件へとつながっていきます。


そしてその先には、思いもよらない、予想を遥かに越える展開が待っていました。
次はどうなるのか、目が離せないシリーズになりました。

でもここで２年生で、そのままだと「秋期限定」で３年生ですね。「冬期限定」は？。
４部作の物語の構造“起承転結”（３部作だったら“序破急”）から考えると、前作はいきなり“承”から始まったみたいで、今回は“転”に思えます。
とすると“起”に当たる、小鳩くんの中学の時の事件や小佐内さんとの出会い（回想）を「秋期」で描いて、「冬期」は冬から春で３年生・卒業“結”という展開なのでは、と推理しました（つまり並べ替えて“承転起結”）。
でも“中学三年の夏から一緒にいる”（ｐ１５）ので、通用しそうにない予想。はっきり知りたいんですけど、当時のことは読者の想像にゆだねたまま終るということも・・・。

そして今回はシャルロット…だけでなく、一覧表でケーキバイキングに行きたくなりました（笑）。
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