装画は木内達朗。装丁は守先正。
『空を見上げる古い歌を口ずさむ』で第二十九回メフィスト賞を受賞デビュー。
主な作品『Q.O.L』『そこへ届くのは僕たちの声』『HEARTBEAT』
『ホームタウン』『東京バンドワゴン』など。主人公で語り手の少年アーチは、ふたごの妹(キサとトア)と父親の4人家族。
母を亡くした後、物語の舞台の海辺の街に越して来て5年になります。
アーチの父は、夏に災害をもたらしていた夏向嵐(かこらし)から
「巨人の腕」と呼ばれる風車を作って街を救い、
その管理研究員となった「風のエキスパート」のフウガ。
アーチは病気で色の識別ができませんが、
「リトルアーティスト」として有名で誰からも物づくりの才能を認められています。
ふたごの妹は、日の出と同時に起き日の入りに眠ってしまうキサと、
逆に、日の入りと同時に起き日の出に眠ってしまうトア。
そうやってわずかな時間話すだけですれ違ってしまう二人が
一緒に遊べない淋しさはありますが、父とアーチは暖かく世話をし、
カンクジョー(簡易宿泊所)に住んでいる人たちをはじめ、
アーチのクラスメイトたちも街の人たちもみんな優しく接してくれます。
物語は「水のエキスパート」のミズヤさんをお迎えに行く春から始まり、
カーニバルの事件、アーチが挑むコンクールなど
1年間の出来事をつづっていきます。
小路さんは2冊目です。
1冊目『東京バンドワゴン』は貸出期限切れで書けませんでした(泣)。
でも続編を書かれるそうなので次回はちゃんと。
架空の世界を描くファンタジーの児童書で、
爽やかで素敵な気持ちになれました。
活き活きとした子供たちだけでなく、出来事やトラブルについて、
思いをきちんと伝える、悪かったと気がつけばちゃんと謝る
大人の姿にも好感が持てました。
印象に残った言葉が山のように。
「子供が無心に遊べば遊ぶほど、そういう子供が多くなればなるほど、
世の中が上手く廻っている証拠だ」(p112)。
「この世界は、皆がそう望めば素晴らしいものになるんだと、
皆に思い出させてくれ。
その才能で、この町から、多くの幸せや希望を
あちこちに運ぶ架け橋になってくれ」(p278)。
あとp32やp211やp228にも。
登場人物の名前はあるていど漢字に変換できて、
アーチはその才能(アーチスト)と上の言葉(架け橋)で
名前の由来がわかりますが、ふたごは謎です。
キサは“気さく”、あるいは“渚”と推理していますが、トアは・・・?。
暖かい雰囲気、風と水と自然を感じられるモチーフは、
宮崎駿監督:スタジオジブリで映画化してほしいくらいで、
ちゃくちゃく・・・から始まるキサトアの歌、
久石譲さんの音楽で聴いてみたいです。
元気いっぱいでなんでも早く勢いよくやってしまう、
エネルギッシュなキサちゃんが印象的。
日常で心がけたい「だぁーっしゅ!」。
そして、ぷるぱーが食べたくなりました(笑)。
関連情報 小路幸也の読了本
・・
東京公園 小路幸也・・
シー・ラブズ・ユー―東京バンドワゴン 小路幸也キサトア小路 幸也

キサトア、小路幸也
- http://1iki.blog19.fc2.com/tb.php/130-a4e53b0e
トラックバック
さわやかな風が吹き抜けるようなファンタジー。ちょっとナウシカの風の谷を思い出してしまうような。なんだか素直に、ここに出てくる人たちのやさしさを受け止められる。この「カンクジョー」に滞在して、朝日と夕日を眺めながら風に吹かれてみたくなります。
キサトア小路 幸也夏になると夏向嵐(かこらし)が吹き荒れる海辺の街。5年前にお母さんが亡くなり、日の出と日の入りが見えるこの地に、風のエキスパートのお父さんと双子の姉妹キサトアと一緒に引っ越してきたアーチ。アーチの周りで起こる1年間の出来事。児童書なんで
『キサトア』小路幸也(理論社)もうすごく好き。すごく幸せな気分になれたしやさしい気持ちになれてよかった。多分ジャンル的にはヤングアダルトになるんだと思うんですが、これはね、「いい本いい本、読んでー」ってのとはちょっと違って、もう私が!ものすごく好きなの!
☆☆☆☆・ キサトア小路 幸也 (2006/06)理論社 この商品の詳細を見る少年アーチはふたごの妹と父親の4人家族。病気で色の識別ができないが、物づくりが得意。海辺の町に越してきて5年、家族は平和に暮していた。やがてアーチはコン
キサトア小路 幸也 理論社 2006-06目が悪くて色の区別がうまくできないけれど、小さな芸術家である少年アーチ。ふたごの妹・キサとトアと「風のエキスパート」である父親と、海辺の町に暮らす彼ですが…。児童書…になるのでしょうか。いや、でももう(こんな)大人の心に
タイトル:キサトア著者 :小路幸也出版社 :理論社読書期間:2006/09/16お勧め度:★★★★[ Amazon | bk1 | 楽天ブックス ]色を失くした僕と、時間を失くした妹たちが海辺の町をかけめぐる日々。僕らの心の中にある、世界のほとりの物語。初読みだった「東京バンドワ
キサとトアは6歳の双子の女の子。お兄ちゃんのアーチの友達は二人のことをキサトアちゃんと呼びます。懐かしいなぁ。我が家の双子姉妹A&Bも小学生時代は友達やご近所のお母さん達から、BAちゃんって呼ばれていました。(ABちゃんと呼ぶ人もいましたが、BAの方が言いやすか.
キサトア小路 幸也アーチには、父さんと双子の妹キサとトアがいる。父さんは<風のエキスパート>。<エキスパート>の仕事はいろいろな所を行ったり来たりしなければいけないから、現在は休職中。海辺の町でカンクジョーをやっている。キサは日の出とともに目覚め、日の入
『キサトア』 著者/訳者名 小路幸也/作 出版社名 理論社 (ISBN:4-65
キサトア小路幸也 理論社 2006年6月 (児童文学) <風のエキスパート>のフウガ氏が、家族のアーチ、キサとトアと共に<巨人の腕>の管理研究員として、ユードロの丘の元・診療所に、引っ越してきてから、5年が経とうとしていた。僕(アーチ)は、病気で色がわ
東から昇る朝陽と西へと沈む夕陽を同じ場所から眺めることができる町にアーチは暮らしていた。丘の上の〈カンクジョー〉で、〈風のエキスパート〉である父のフウガと、キサとトアという双子の妹と一緒に。彼らが5年前に、海へと突きだした三角形の先っぽにあるその町....
キサトア 作者: 小路幸也 出版社/メーカー: 理論社 発売日: 2006/06 メディア: 単行本 理論社だし図書館でも児童書コーナーにあったので、コレは児童書の区分になるのか。でも大人も読めるいい作品です。 お父さんのフウガさんは「風のエキスパート」。風を読んで、暮らしに
[C480]