イラストは喜国雅彦。講談社ミステリーランドの1冊。
2005年に生誕百周年を迎え、
かつて数々の怪奇冒険活劇で読者を魅了してきた
怪盗紳士アルセーヌ・ルパンが主人公の物語。
今回は古代エジプトの呪いと対決します。
カーとは古代エジプトで「さまよえる死者」のことです。
王の墓を荒らし宝物を持ち去ったとして、
考古学者の家族にさまざまな災厄が降りかかります。
次から次へと出てくる謎、そして冒険は、
原作者モーリス・ルブランのルパンシリーズを彷彿とさせ、
ワクワクしながらページをめくっていきました。
ルパンが複雑に絡まった事件の真相を解き明かし、
その意外性に、むかし夢中になっていた
探偵ものの楽しさを思い起こしました。
ルパンやホームズなど古典の探偵のパスティーシュ小説は、
芦辺拓さんや柄刀一さんがいくつかの作品を発表しています。
原作者への敬愛が感じられるオリジナリティあふれる物語でした。
二階堂さんは初めてこのジャンルを手がけたはずにも関わらず、
文章表現、言い回しまであの時代の翻訳・読み物調にしていて、
読みにくいはずなのに懐かしく楽しく、
オリジナリティももちろんですが素晴らしいオマージュにもなっています。
ミステリーランドの1冊としてですが、
やっと二階堂さんの本をご紹介することができました。
主な作品、地獄の奇術師(デビュー作)吸血の家、
聖アウスラ修道院の惨劇、悪霊の館、ユリ迷宮、人狼城の恐怖、
バラ迷宮、悪魔のラビリンス、魔術王事件、
など昭和四十年代を舞台にした二階堂蘭子シリーズ、
軽井沢マジック、奇跡島の不思議、名探偵水乃紗杜瑠の大冒険、
諏訪湖マジック、宇宙神の不思議、猪苗代マジック、
稀覯人(コレクター)の不思議、など
現代の奇妙な謎を含んだ事件を解く水乃サトルシリーズ、
私が捜した少年、クロへの長い道、ドアの向こう側、など
幼稚園児(6歳)なのに孤独なハードボイルドの探偵渋柿シリーズ、
短編集の、増加博士と目減卿、
合作、白銀荘の殺人鬼(愛川晶さん)、KillerX、千年岳の殺人鬼、
永遠の館の殺人(黒田研二さん)など。
ほかに合作競作の新世紀「謎」倶楽部の企画・構成、
手塚治虫ファンクラブ初代会長、さまざまなアンソロジーへの参加など、
めざましい活躍を続けています。(読みにくいのでカッコは外しました)。
ご紹介が遅れているミステリ作家さん、
まだまだいらっしゃいます。乞うご期待。
関連情報 講談社ミステリーランドの読了本
・・
怪盗グリフィン絶体絶命 法月綸太郎・・
銃とチョコレート 乙一・・
びっくり館の殺人 綾辻行人カーの復讐 (ミステリーランド)喜国 雅彦

カーの復讐、二階堂黎人
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読みましたよv
子どもの頃読んだミステリを読むようで、すごく懐かしかったです。
二階堂さんのまえがき(翻訳しました云々)に、うっかり騙されそうになりましたが(笑)
楽しい本をオススメくださって、ありがとうございました。
また、教えて下さいねv