仕立屋の淳蔵は、かつての親友高瀬に招かれ、
追われるように去った信州の故郷を三十五年ぶりに訪れる。
高瀬の妻の美保子は昔、淳蔵が恋焦がれた相手だが、
年月が彼女を変貌させていた。
佳世と出会った淳蔵は年齢差を超えて惹かれるが、
過去の事実が二人の恋情をより秘密めいたものにしていくのだった。
直木賞受賞作。
東京白金と信州を舞台に四人の愛憎を細かく綴った恋愛小説。
登場人物の間合いの取り方や、時間の流し方などが斬新です。
いろいろな男女の心の陰影。深く描いて心理劇みたいでした。
愛の領分を分け合える二人だけが幸せになれるのでしょうか。
文庫版は「自伝エッセイ受賞者が語る直木賞受賞までの軌跡母親の顔」収録。
トラウマからの女性遍歴。お母様への想いが興味深いです。
分け合う愛の領分。藤田宜永さんの少し悲しい物語です。
これが元ネタ?。
愛の領分 (1963年) (心理学〈第17〉)V.マルコッツィ
愛の領分藤田 宜永
愛の領分 (文春文庫)藤田 宜永

愛の領分 藤田宜永
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「お待たせしました」
淳蔵はガスアイロンのスイッチを切った
高瀬は生地見本から目を離した。淳蔵は窓辺に寄った
散った三須臾(サンシュユ)の花びらが蝶の死骸のように見えた
三須臾は、ミズキ科の樹で、たくさんの小さな黄金の花をつける
そして秋には...
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