カバー写真は広瀬達郎(新潮社写真部)。装幀は新潮社装幀室。書き下ろし。
主人公で語り手の志田圭司は、旭川出身でカメラマン志望の大学生。建築工学を学びながら「家族」を自分のテーマに決めて、公園でくつろぐ家族写真の撮影をしています。ある日、妻と娘の撮影を断った初島さんから、彼の妻・百合香さん(と、二歳の娘・かりんちゃん)を尾行して写真を撮ってほしい、という頼みごと(アルバイト)が。
初島さんの依頼理由、そして百合香さんが公園巡りをしている謎。各章は妻娘が訪れる公園での様子と、days(圭司の日常生活)を交互に描いていきます。daysでは、圭司の同居人でマルチな才能を持つヒロ(広井博司)、女であることにわずらわしさを感じている幼なじみの富永、バーのバイトの紹介など何かと頼りになる義姉の咲実、バイト先のマスターの原木さん、大学の同級生で婚約者(かほりちゃん)と暮らしている真山など、圭司を取り巻くさまざまな人間模様が現れてきます。
「東京バンドワゴン」「キサトア」に続いて3冊目の小路さんでした。誠実な人々、おだやかに物語が進んでいく中で起こる距離の変化、新たな関係の展開に圭司が決めた判断は?。恋愛がメインのはずなのですが、帰省先の両親と姉、マスターの亡き妻、初島さん夫妻が印象的で、これまで同様、家族がキーワードの爽やかな物語でした。ネタバレですが・・・「好きな人たちには、幸せになってほしい」「自分のために、大好きな誰かのために、暮らしは別でも一緒に生きていく。だから幸せな方向に向かっていってほしい」というメッセージがこころに響きました(p202-203)。
このシチュエーションどこかで、と感じていたら、最後の「To“Follow Me!”」で謎が解けました。ミア・ファーロー主演のむかしの映画への、小路さん流のオマージュなのかも、です。映画の内容を思い出して微笑んでいました。
邦題は「フォロー・ミー」。1972年制作。
共演トポル(代表作は「屋根の上のバイオリン弾き」)。
キャロル・リード監督作品(代表作は「第三の男」)です。
大学で映画研究会だったので、当時、名画座で観て憶えていました。
最後の女性ボーカルの哀愁を帯びたメロディーが印象的でした。
富永がDVDを良く見ていたのも、伏線かも、です(笑)。
実際の公園をご存知の方は、その情景が浮かんできたかもしれませんね。噴水が鮮やかな表紙の写真、何公園なのでしょう?(出てきたのは、水元、日比谷、砧、洗足池、世田谷、和田堀、行船、井の頭)。ご存知の方は教えて下さい。私の地域の運動公園は、和式庭園風エリアや林道散歩コースを設けていて、たまに行きます。
余談:「ジョジョの奇妙な冒険」って、七十巻まで出ているのですね。城太郎のスタンド、“スタープラチナ”が好きでした(マニアな話題?笑)。
関連情報 小路幸也の読了本
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キサトア 小路幸也・・
シー・ラブズ・ユー―東京バンドワゴン 小路幸也追記。発売されました。
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東京公園 小路幸也
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私もこの本をちょうど図書館から借りてきたところです。
いま、有川浩さんの『図書館内乱』を読んでいるところなので、感想はもうちょっと後になりそうです。
ということで、読んだ後でまたコメントさせていただきますね。