きのう小学校を卒業した。今日から春休み。でもなんだか私の頭はもやもや。
隣の家との争いが原因で、家のなかもぎくしゃく。
ひょろひょろ頼りないやつだけど、私の仲間は弟のテツだけだ。
私たちはいっしょに家の外を歩きはじめた。小さな沼。広い空の下の川原。
ガラクタ置場でのら猫にえさをやる不思議なおばさん。
そしてある日、私たちはもう家に帰らないで、
捨てられた古いバスのなかで暮らそう、と決めた…。
気持ちと感覚をあざやかにていねいに描き出した、心に残る物語。小学校中・高学年から。
トモミの家庭や学校での不安定な気持ち。子供の頃に感じていたことが甦ります。
子供でも自分なりにいろんなことを考えて心が痛み悩んで生きていること。
淡々と進むお話。この年頃特有のもやもや感が全体に漂っていてリアルです。
途中で心が苦しくなって、読むのが辛くなってしまうような場面もあります。
未知の他者との出会いで変化が生まれ落ち着きを得る心をとても丁寧に描きます。
子供が精神的な危機を乗り越えるのは、大人の果たす役割次第と気づかされます。
奏でる「春のオルガン」湯本香樹実さんが描くトモミの成長。清々しかったです。
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『春のオルガン』
湯本香樹実/新潮文庫
先日「ポニョ」な映画を観たばかりとあってか、自然の中を駆け回る姉弟を描いた本書が、やけにジブリな作品のように思えてしまったよ。
小学校を卒業したばかりのトモミと弟・テツの春休み。(このテツのセリフが宗介の声に変換
春のオルガン (新潮文庫)(2008/06/30)湯本 香樹実商品詳細を見る
お目当ての文庫がなくて、買ったものです
大好きな酒井駒子さんが表紙だったの...
湯本香樹実「春のオルガン」追加。主人公が子供だから詳しい事情はわからないのだけれど、絶対許すまじは隣のジイサン。諸悪の根源はこの方。・・・こう思ってしまうところがともみのお母さんとそっくりで情けないのだけれど、やはり納得できないじゃん。なんで他人ん家の土
大人たちのトラブル、自分もまた子供から大人に変わってゆくことへの戸惑いの中で、トモミは少しずつまだ見ぬ世界に足を踏み出していく。
(...
大人になることは傷がつくことなのかもしれない。 主人公のトモミが小学生を卒業して中学生になるまでの間の物語だから、大人というには、まだだいぶ早いけれど。 物事を理解するとい...
★★★★☆ 湯本香樹実さんの本は初めて読んだけど、なかなかいい。 ちょっと自伝的要素が強そうなので(それ自体は何も悪いことじゃない)、ほかの本もいいのかは今は判別つかないけど…。 最初は、江國香織系の、たいしてめずらしくもない系かなあと思ったけど。 たしかに…
春のオルガン (新潮文庫 ゆ 6-3)(2008/06/30)湯本 香樹実商品詳細を見る
小学校を卒業した春休み、「私」のただ一人の仲間は9歳の弟だった。隣の家との争いのせいでぎくしゃくする家を離れて、姉弟は外の世界...
Pooka+―酒井駒子 小さな世界酒井 駒子学習研究社 刊発売日 2008-06...
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ま、わたしの場合、オトナになってもいまだビミョーではあるんですけど。トホホ…