むかしむかしあるところに、私たちが家族だった頃がある―。
母と兄、そして父も、私をおいていなくなった。
孤独な日常を送っていたとうこのもとに、ある日転がりこんできた従妹の瑠璃。
母とともに別居する双子の兄・陸は時々とうこになりかわって暮らすことで、
不安定な母の気持ちを落ち着かせていた。
近所の廃屋にカフェを作るためにやってきた夫婦や、とうこの祖母。
それぞれが大きな喪失を抱えながら、ゆっくり立ち上がっていく、少女とひと夏の物語。
双子の兄の思いがけない変化に家出を繰返すいとこ。亡き我が子が見える遊子さん。
それぞれが傷を持ちながらも自分を見失わないように生きています。
時に深い悲しみとなって人の心に重くのしかかってくる「喪失」。
忘れることは難しくても、立ち上がれる程に変わることができるってこと。
個性あふれる人々とのめぐりあい。次第に癒されていく心の機微が瑞々しいです。
優しい「水の繭」大島真寿美さんの爽やかで力強い、喪失からの再生の物語です。
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「水の繭」大島真寿美
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