鍛え抜かれた体と心を持ち、過酷な修行の末に英雄の称号を許されたタンラ。
そして、最も天に近いといわれる峰の精霊・ジュンガ。
途方もない試練を乗り越え盟約を結んだ二人は、世界の中心に位置する高原を守り、
人々の尊崇を受けながら日々を過ごしていた。
だがある時、タンラは強大な力を持つ光の術師によって心を壊されてしまう。
折しも高原は、次々と現れる妖魔と旱魃に襲われ、過去に例のない大災厄の中にあった。
タンラとジュンガは、壊れかけた絆を修復できぬまま、高原を救うための旅に出るが…。
ファンタジーノベルの新たなる到達点。
タンラが心魂の一部を取られて、俗人へと堕ちて始まる話。
英雄を引退して、ジュンガと盟約を結んだ生き生きとした頃とは別人。
人を疑い裏をさぐり、物事を斜めに見る猜疑心の塊となってしまった元英雄。
慕ってくれる女の子に対しても酷いことを言って突き放します。
高原に巻き起こる政変にタンラの立ち位置は傍観者のまま。すごいです。
パターンを覆し、深く関わっていくことを望まず避けて進んでいくのです。
そういう彼の目を通すからこそ、世界の醜さや美しさも見えるような気がします。
世の中の光が当たらない部分が見えるようになったのかもしれませんね。
登場人物それぞれが人には言えない苦い思いを乗り越えて行く物語。
最後は怒濤の展開。細かい設定が生かせていないのが少し残念です。
「高原王記」仁木英之さんの高原の歴史を淡々と語っていくファンタジーです。
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