「この男を今、私のものにしたい」何もかもどうしようもない、という磨理枝と、
何もかもどうでもいい、という夕凪。
クラスメイトのなかで、どこか違っている二人。
子供であることを嫌悪し、大人であることを武器にする少女たちの季節…。
誇りたかく多感な彼女たちの傷つきやすい恋愛を、瑞々しいタッチで描く、青春の物語。
父親と継母の三人暮らしの磨理枝。地方小劇団の主宰者に恋し、追いかけていく物語。
表題作の磨理枝も併録「あたたかい鎖」の夕凪も一見普通の、しっかりしている女子。
精一杯に背伸びしてみせる彼女たちの言動の数々に苛ついた時期を思い起こします。
子どもであること、大人であること。両方に属するからこその苦悩。
不安定な精神状態で潔くなれなかった過去の自分と重なります。
ろくでもない男たちだけど憎めない魅力。彼女たちの行動力はむしろ小気味いいです。
悶々とした感情。人生の春しか知らない時期に受ける傷の深さ、痛み、成長。
早春賦でなく「傷春譜」楡井亜木子さん、その後の彼女たちを読んでみたいです。

「傷春譜」楡井亜木子。楽天には記事のリンクがありませんでした。びっくり。
「傷春譜」楡井亜木子
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「チューリップの誕生日」や「はじまりの空」などで、大好きな作家楡井亜木子さんの初期作品、「傷春譜」をやっと読むことができました。 物語は、幼い頃に母親をなくし、父親と継母の三人でくらすしっかり者の女子高生、磨理枝。 その彼女が、地方の小劇団の主宰者に…
トラバさせていただきましたので、またご確認いただけますでしょうか?
どうぞよろしくお願いします。