出会う時、悲劇は起こる―。大学一年生の秋、杉下希美は運命的な出会いをする。
台風による床上浸水がきっかけで、同じアパートの安藤望・西崎真人と親しくなったのだ。
努力家の安藤と、小説家志望の西崎。それぞれにトラウマと屈折があり、
夢を抱く三人は、やがてある計画に手を染めた。タワーマンションで起きた悲劇的な殺人事件。
そして、その真実をモノローグ形式で抒情的に解き明かす、著者渾身の連作長編。
物語は、事件のはじまりから登場人物の事情聴取という形でスタートします。
事件と10年後を行き来しながらそれぞれの独白で事件の真相へと近づいていく手法。
ひとたびページをめくれば最後までノンストップで読ませる筆力はさすがです。
これまでは登場人物それぞれの「情」が絡み合い事件から真相までができていた印象。
今回は登場人物よりもミステリーのほうに重心がおかれているように感じます。
杉下希美の人物造形が秀逸で人との絡みやテンポよく交わされる会話も自然です。
少しずつ解き明かされる登場人物の内面がじんわりと響いてくる話。
著者の描くミステリーの底知れない引力とスリルが強固になったと思います。
何かを犠牲にしても切望する愛を望む形では得られない哀しさが痛いです。
すべては「Nのために」湊かなえさんの後味悪さ継承作。切なくてやり切れないです。

楽天からも購入できます。
「Nのために」湊かなえ
「Nのために」湊かなえ
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デビュー作〈告白〉が、かなり強烈で、それにつづく作品がいまいちだったのですが、この作品でそれが払拭された感じがします。
当初、色濃かった物語のブラックさというのは影をひそめてしまったけれど、先の読めない複雑な構成は、いったいどういった展開になるのかとい...
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ずーーーーーーっと前に予約していた本を
やっと図書館で借りることができました。
湊かなえさんの本は「告白」で衝撃を受けてから
図書館で借りて何冊か読みました。
今回も読みやすかったのですが内容はうーん。
なんだかすっきりせずという感じでした。
後「往...
ご訪問ありがとうございます☆
Nのために(2010/01/27)湊 かなえ商品詳細を見る
「告白」が期待に違わぬ面白さだったので、必然的にこちらもかなりな期待値大。読了後の感想は……やはり偉大なデビュー作...
Nのために(2010/01/27)湊 かなえ商品詳細を見る
::: ミステリ・恋愛 ::: ★★☆☆☆
著者の4作目の作品。
デビュー作からこれまで、モノローグの羅生門形式でミステリを発表してきた。
前作あたりから...
Nのために著者:湊 かなえ東京創元社(2010-01-27)販売元:Amazon.co.jpクチコミを見るNのために・・・。って、いったい何だったのよ、という何となく釈然としない感想を持つ作品です。娘もわ...
①『減速して生きる ダウンシフターズ』高坂 勝 著
②『Nのために』湊かなえ 著
③『サヨナライツカ』辻 仁成 著
④『さすらい猫 ノアの伝説』重松 清 著
⑤『永遠を旅する者』重松 清 著
①について、
減速して生きることができる人(ダウンシフター)は
「...
★★★☆☆
「N」と出会う時、悲劇は起こる―。
大学一年生の秋、杉下希美は運命的な出会いをする。
台風による床上浸水がきっかけで、同じアパートの安藤望・西崎真人と親しくなったのだ。
努力家の安...
Nのために 作者: 湊かなえ 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 2010/01/27 メディア: 単行本 購入: 1人 クリック: 51回 この商品を含むブログ (55件) を見る うひゃあ~、ほんっとどうでもいい話。まぁ、どうでもいい割に不快感だけが残る、という最悪さではなかったこと
Nのために(2010/01/27)湊 かなえ商品詳細を見る
自分的には今話題の『告白』より面白さがあったように思います。
ズレてますか?(笑)
あるマンションの一室で殺人事件が起こる。
その事件は、偶然なの...
『チャンスがあれば、
自分が持っていないものを手に入れている人に
逆襲してみたいと思ってる。』
...
ぶっちゃけ、寝不足です。
何しろ、ゆうべ──寝る前に、ある小説(読み終えたらまた感想を書きます。とても天国的でかつ面白い)を読んでいて、しかし、最後の最後にちょこっとだけ、この湊かなえの毒々しい...
ずーーーーーーっと前に予約していた本を
やっと図書館で借りることができました。
湊かなえさんの本は「告白」で衝撃を受けてから
図書館で借りて何冊か読みました。
今回も読みやすかったのですが内容はうーん。
なんだかすっきりせずという感じでした。
後「往...
[C18074]