ふわふわと揺れ動く不安定なこころ。
女子高に通う雛子の家は、マンションの11階にある4LDK。
暇さえあれば寝てしまう雛子、歳の割にしっかりした小学生の弟・真人、
時々ヒステリックな母の圭以子。
同居する祖母の萩乃が「運針の病」にかかってしまったことで、
ぎりぎり保たれていた均衡がゆらぎ出した…。
不安定な心のうつろいと喪失に、まっすぐにむきあう姉弟の物語。
高校生・雛子とその家族の日常生活の些細なずれを淡々と描きます。
本人にも理由のつかない行動、意識していないのに繰り返してしまう行動。
理由不明でいつ終わるのか全くつかめない不安定な心の位置を旨く描いています。
心が不安定な分、物事の境界線が曖昧で現実と夢の区別がつかなくなっていく。
「現実逃避」とか「疲れ」とか理由をこじつけられそうな状態でも危うい所にある心。
人から邪魔されない時間が欲しいことを繊細に描ききった作品です。
浮かぶ「宙(ソラ)の家」大島真寿美さんのデビュー作。感性の詰まった1冊です。
目次・宙の家/空気
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