現実にうまく馴染めず、虚構の名前にくるまり世間から逃避していた知世子は、
映画研究会OBである正岡の強引な誘いで、彼が構えるカメラの前に立つことに。
レンズの向こう側へあふれるモノローグが、こわばった心を解き放つ。
映研での自主映画制作の過程で、本来の生気を取り戻し、
窮屈なしがらみからのびのび解放されていく。
がらんとしたモノクロームの記憶がやわらかに色づき、のびのびと芽吹きだすまで―
私が或る一匹の犬だった季節はそうして終わった。
ゆるやかに快復する少女を描いた珠玉の青春小説。
進路指導のアンケートに本気で「犬になりたい」って書いてしまう知世子。
親子3人での交通事故。母を失い父も知世子も10年前の現実から逃避。
高校2年の春夏秋に、宮永知世子は逃げ続けてきた名前と向き合います。
これからの人生を知世子として生きるために大きな意味を持って過ぎていく日々。
高校2年の多感な感情と重なり、痛々しいのに綺麗で真っ直ぐな物語です。
多くのことを置き去りにして、大人になってしまった気がします。
感情をあまり表さない主人公なのに、悲しいよりむしろ透明なあたたかい感じ。
私は「チョコリエッタ」。大島真寿美さんの世界観がとても好きです。
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イタリアの映画フェリー二の『道』がモチーフ。いい映画です。
ジェルソミーナ役の女優さんはジュリエッタ・マシーナ。フェリーニ監督の奥さん。

「チョコリエッタ」大島真寿美
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『チョコリエッタ』
大島真寿美
角川文庫
進路調査書に「犬になりたい」と記して呼び出しをくらった女子高生・宮永千世子の物語。
幼い頃に母を失い、今またともに育った愛犬・ ...
チョコリエッタ 作者: 大島真寿美 出版社/メーカー: 角川書店 発売日: 2003/03 メディア: 単行本 クリック: 1回 この商品を含むブログ (27件) を見る 感想は コチラ に。 作中に出てくる映画を見てみたくなる作品。嘘。見ないけど。 と、『嘘。××。』という文章を使ってみ
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