身に覚えのない幼稚園の同窓会の招待状を受け取った、葛見隆一。
仕事と恋人を失い、長い人生の休暇にさしかかった隆一は、会場でミライと出逢う。
ミライは、人嫌いだったという父親の行方を捜していた。手がかりは、二つのあだ名だけ。
痕跡を追い始めた隆一の前に、次々と不思議な人物が現れる。
記憶の彼方から浮かび上がる、父の消えた70年代。
キューブリック、ベトナム戦争、米軍住宅、そして、特撮ヒーロー番組“宇宙猿人ゴリ”―。
最初から不思議な出足。どんどん奥が広がっていくような雰囲気のある作品。
ミライの母、蔵橋礼子が開いた幼稚園。歌詞、きのこぐも、なぱーむだんで笑えます。
一年で閉園の謎。痕跡を追い始めた隆一。次々と不思議な人に出逢う展開がいいです。
学生運動、安保闘争、赤軍派、女性解放運動、ベトナム戦争、ベ平連、ラヴ&ピース。
政治が今よりずっと身近だった70年代の風物が細かなディテールで妙にリアル。
円陣、猿人でなく厭人。多様に解釈できる言葉でタイトルに奥行きが出ています。
特撮ヒーロー番組「宇宙猿人ゴリ/スペクトルマン」について語る場面が面白いです。
隆一に絡む古物商仲間の峰岸珠緒、元カレ燕耕太もいいキャラです。
熱が「エンジン」中島京子さんの、記憶の旅の物語。ドラマチックで楽しかったです。

機械・メカニズムに興味のある方にはこちら。

特撮好きの方にはこちら。
「エンジン」中島京子 楽天からも購入できます。
「エンジン」中島京子
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エ/ン/ジ/ン 中島京子
エンジン 中島京子
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ミライは、人...
『エ/ン/ジ/ン』 中島京子 著 カタカナ4文字のシンプルなタイトルを クルマを動かすアレのことだと疑わず読み始めたら、 なんといえばいいのか、 とても一言では言い表すことのできない 不思議な小説だった。 33歳の誕生日の3日前、葛見隆一は、 仕事の契約更
この人の小説、私は好き。
構成がとても面白い。
葛見隆一は奇妙な知らせを受け取った。
一年だけ存在したという「トラウムキンダーガーデン」三十周年の同窓会
その日のなんとなくの気分で同窓会(といっても、彼一人しか来なかった)で
彼はその幼稚園の唯一の先...
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過去記事も少しずつ読ませていただきますね。