木を見て森を見ず――。細部に注意しすぎ、肝心の全体を見失うことのたとえで、
事件捜査において、最も避けなければならないことである。
この小説に登場する刑事は皆、これを徹底し犯人を逮捕していく。
だが、彼らは気づかなかった。その森が想像以上に大きく深いということに……。
5つの殺人事件。果たして刑事は真実をみたのか?今、注目を浴びる著者の連作警察小説。
5つの物語が全て繋がっていくという連作形式の長編小説です。
交番勤務や元警官の探偵など異なる人物が関わる事件に一人の女性が絡んでいきます。
最初からグイグイ読ませる筆力。シズカを知りたくて、どんどん引き込まれます。
でもシズカに各章で関わってくる警察官や探偵等の描き分けができていない感じ。
章も事件も変わるのに同じ調子の一辺倒で個性が描き切れていないのが残念。
複数人の各章を最終章で繋げる狙いは分かるんですが、空回り的です。
警察官たちのキャラクターが伝わると、もっと作品に深みが出たのではと思います。
上手にプロットや背景を組み立てれば、もう少し面白くなったような気がします。
最終章で全ての謎が明らかになりますが、シズカの背景の描き方が結構大ざっぱ。
行動の裏付けとなる生い立ちや過去、この心情に至る過程が強引な印象を受けました。
シズカの別の一面の意外さと感動が伝わりにくいです。
殺意の底にある動機が伝わりにくく、シズカの心に沿いきれないせいかもしれません。
冷たい「ヒトリシズカ」誉田哲也さん、シズカのキャラクターが良いだけに残念です。
「ヒトリシズカ」誉田哲也 楽天からも購入できます。
「ヒトリシズカ」誉田哲也
- http://1iki.blog19.fc2.com/tb.php/1838-a4d27659
トラックバック
おこんばんわ。【現在】 書籍5/100実際に読んでるペースに記事が追いついてませ~ん>w<本日の本は、誉田哲也氏の「ヒトリシズカ」氏の作品でサスペンスモノへの抵抗感が払拭さ ...
シズカという女性の回りで起こる殺人事件。 警察官や探偵など様々な登場人物の視点で事件が描かれている。 謎めいた展開に引き込まれ、ついつい読み進めてしまうだろう。 ヒトリシズカ作者: 誉田 哲也出版社/メーカー: 双葉社発売日: 2008/10メディア: 単行本
警察小説の連作物だと思って読み始めた。「闇一重」「蛍蜘蛛」「腐死蝶」「罪時雨」「死舞杯」「独静加」の6編の短編からなっている。警察官や私立探偵の“私”がそれそれ異なっているが、主人公は伊東静加だ。静加は不幸な生い立ちを背負い、13歳にして殺人を犯す。暴力
[C18255] 承認待ちコメント