早朝に電話でたたき起こされ、中学校からの幼なじみである奈津のひとり娘・
美月を預かることになった市子。
小さな美月から、奈津の夫・憲吾は行方不明であり、
奈津は憲吾を探しに出かけたことを知らされる。
2日後、奈津は戻ってきたが、思い当たる場所をすべて回ったが
憲吾は見つからなかったと語る。
市子と奈津は、ひとりではどうにも頼りないところのある憲吾の失踪には、
絶対に他の女性が関係していると推測する。
これまで長い付き合いだった市子と奈津、
出会ったころにはこんなことが起こるなんて想像もつかなかったけれど、
大人になったいま、誰かを失ってもその傷はいつか癒えることを知っている。
読むと幼なじみに会いたくなる、女性どうしの友情を描いた作品。
中学時代からの友だち3人を中心に進む物語。
大学時代、仕事を通じてだんだんに気の合う仲間が集まっています。
若くはない友人達の人生がぼろぼろこぼれてくる展開です。
長く続いている友人関係や食事の風景から背負っているものが覗ける巧みな描写。
昔話として、あるいは回想としてうまくわからせてくれるのもいい読み心地です。
登場人物のほとんどが具体的な職業は明かされずフリーで働いています。
それでも友だちが人生の中心にある人々を明るく描いています。
女の友情物語に限定せず、男もゲイも適度にいて友情を意識しないつきあいが現代的。
一昔前の女が裏切る友情物語ではないこと、変にべたべたしていないのもいいです。
人にはそれぞれ価値がある。生きてきたその人の人生の足跡は決して無駄じゃない。
市子、奈津、まり、三宅ちゃんがすごくいい友達関係でとても羨ましいです。
綺麗な「虹色天気雨」大島真寿美さんの優しくて力強い想いに包まれる作品です。
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