人は、人のどこに恋をするんだろう?消えた恋人・麦を忘れられない朝子。
ある日、麦に顔がそっくりな人が現れて、彼女は恋に落ちるが…
朝子22歳から31歳までの“10年の恋”を描き、朝日新聞、読売新聞、
毎日新聞他、雑誌掲載時より各紙誌で話題沸騰、著者初の長篇小説。
服飾、雑貨に関心があり、写真を撮る関西弁の若い女性。
仕事主体でなくゆるく生きている、大阪が舞台の小説をこれまで多く描いています。
人物描写の感性のよさもいいのですが、何より視点のカメラワークが独特で楽しいです。
他のと同様、朝子は特に写真撮影好きの設定もあって、目がカメラになっています。
冒頭の高層タワー内で麦と出会うまでの文章だけでも作品の面白さがよく出ています。
この小説がどのように進んで行くのか、期待が膨らんでわくわくしてしまいます。
中盤で舞台が東京に移り、朝子の目カメラが据えられるツタヤ二階のスタバが絶妙です。
渋谷のスクランブル交差点を見下ろすと、ほどなく第二の男、亮平(大阪人)が登場。
流れる時間に本物の手触り。朝子のものの感じ方が、すごく現実的に伝わってきます。
魅力的な女友達が、それぞれ朝子のことをどう見ているのかもちゃんと感じられます。
61ページからの麦との朝や、150ページからの亮平との夜とか、すごくリアルです。
今回は10年という時間軸の中でも、どの場面を切り取るのか、その捨て方も見事。
段落と段落のあきの取り方も絶妙で、数々の女子会や洋服の話も好き。
恋は「寝ても覚めても」柴崎友香さんの一段階ステップアップした印象の作品です。

こういう本もありましたので、ついでにご紹介。
「寝ても覚めても」柴崎友香 楽天からも購入できます。
「寝ても覚めても」柴崎友香
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