喫茶店の店主が客を監禁・篭城する事件が発生した。
交渉人に任命された遠野麻衣子に、
篭城犯は「テレビカメラを駐車場に入れ、事件を中継しろ」と要求する。
過去に犯人の幼い娘が少年によって惨殺された事件に動機があると推察するが、
麻衣子たちは要求の真意を計りかねていた。
そこへさらに突きつけられたのが、警察としては決して呑めない前代未聞の要求だった。
解決策を探ろうと必死の交渉を続ける麻衣子の耳に、いきなり女性の悲鳴が聞こえる―。
特殊犯罪捜査科所属の交渉人・遠野麻衣子が主役のこのシリーズ。
優れた警察小説としてもエンターテインメントとしても楽しめる内容です。
前作「爆弾魔」は次から次へと新しい事件が発生する中で真犯人を突き止める展開。
今回は劇場型犯罪と少年法という要素が加わっています。
籠城犯の要求を聞き出して時間をかけてじっくり交渉していく展開です。
著者お得意のスピード感溢れる文体で一気に最後まで読ませます。
少年法により未成年者が保護され被害者が怒りのはけ口を見つけられないこと。
犯人が未成年者であるが故に事件の加害者よりも被害者が苦しめられること。
そういった少年犯罪のあり方にも触れており、テーマとしては重いものです。
でも軽いタッチで深く切り込んでいないため、考えさせるには力不足の感じ。
少し伏線が濃くなかなか良い線のオチでしたが、もう一ひねりあればよかったですね。
「交渉人・籠城」五十嵐貴久さんの人気シリーズ。もう少し意外性がほしかったです。
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「交渉人・籠城」五十嵐貴久
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