なにものも分かつことのできない愛がある。時も、死さえも。
あまりにも美しく、哀しく、つよい至高の傑作長篇小説。
失踪中の夫が帰ってきた。ただしその身は海底で朽ちていると。
死後の軌跡をたどる2人。心震わせる哀しく深いゴースト・ストーリー。
瑞希はある日、台所で三年前に失踪した夫・優介に会います。
彼の体はすでに、海底で蟹に食われてしまったらしい。
でも、彼の顎をなぜると、ざらざらした感覚が瑞希の手に伝わってくるのです。
優介と共に、瑞希は優介が彼女のところまでやってきた道を辿っていきます。
そして、共に旅をしながら、瑞希は自分の過去や未来を見つめていくお話。
淡々と進んでいく物語ですが、時々、妻の割り切れない思いも描写しています。
それでも道中の中で今まで知らなかった夫のことを知ったり愛が深まる感じがします。
決定的な事件や大きな感情のぶつかり合いなどないのに、
何故か所々で涙腺が弛みかけてしまう不思議な物語。
切ない「岸辺の旅」湯本香樹実さんの優しい文章が心に残る作品です。
「岸辺の旅」湯本香樹実 楽天からも購入できます。
「岸辺の旅」湯本香樹実
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ギリギリ作者の感性に合わなかったな。死者との対話だと『家守綺譚』の方がしっくり来るし、『遥かなる水の音』の方が死者の思いに共感できたし。しらたまの感性は抵抗なかったけれども、死者との愛人の告白は少し興ざめしたからな。この手の本との相性は読者の感性次第だ...
NHKテレビの書評番組で話題になっていたので、図書館から借りて読んでみました。 これは、風変わりな小説です。一年以上失踪して帰って来なかった主人公の夫が突然帰ってくる導入部分から読み進むうちに、すでに夫は死んでいることがじょじょに分かってきます。そし
書評こぼれ話
今日紹介した湯本香樹実さんの
『岸辺の旅』を読むきっかけは
bk1書店に掲載されていた
佐々木なおこさんの書評。
いい書評なんですよ、これが。
やは...
湯本 香樹実
ある日、ふと気がつくと三年前にいなくなった夫が目の前に立っている。
一緒に旅をするのは、彼岸と此岸の間に横たわる ...
ギリギリ作者の感性に合わなかったな。死者との対話だと『家守綺譚』の方がしっくり来るし、『遥かなる水の音』の方が死者の思いに共感できたし。しらたまの感性は抵抗なかったけれども、死者との愛人の告白は少し興ざめしたからな。この手の本との相性は読者の感性次第だ...
岸辺の旅 作者: 湯本香樹実 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2010/02 メディア: 単行本 購入: 1人 クリック: 21回 この商品を含むブログ (16件) を見る 深夜、消息不明の夫が好きだったゴマだんごを作っていたら、台所の隅に夫が現れて自分はもう死んでいるのだと言う。
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