「インビジブルレイン」誉田哲也

姫川玲子が新しく捜査本部に加わることになったのは、ひとりのチンピラの惨殺事件。
被害者が指定暴力団の下部組織構成員だったことから、
組同士の抗争が疑われたが、決定的な証拠が出ず、捜査は膠着状態に。
そんななか、玲子たちは、上層部から奇妙な指示を受ける。
捜査線上に「柳井健斗」という名前が浮かんでも、
決して追及してはならない、というのだが…。
幾重にも隠蔽され、複雑に絡まった事件。
姫川玲子は、この結末に耐えられるのか。

姫川玲子シリーズ第４作。一作目既読。今回は過去の作品とは異なる内容です。
今までのように刑事同士で起こる感情の交錯は少なくなっています。
今回は主人公自身の内面で起こる葛藤が前面に出てきているのです。
それがその他の登場人物の心象描写にも影響を与えます。
読み進めるほどにその葛藤が登場人物とともに収斂されていく流れです。
仕事ひとすじの姫川に、心惹かれる相手が登場。憎いぐらいかっこいい男。
この作品は、男気のあるこの男の魅力に拠って立つところが大きいと思えます。
気付いた時にはページをめくる手が最後まで止まらなくなっていました。
姫川玲子が孤独の中、色々な意味で成長していく物語だと思います。
新キャラとの絡みはまたあるのか、そして彼女は在るべきところに戻れるのか。
見えない雨「インビジブルレイン」誉田哲也さんの続きがとても楽しみです。

インビジブルレイン 誉田哲也

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