心から一歩も外に出ないものごとは、この世界にはない。
心から外に出ないものごとは、そこに別の世界を作り上げていく。
「こうであったかもしれない」過去が、その暗い鏡に浮かび上がらせるのは、
「そうではなかったかもしれない」現在の姿だ。
そこは世界にただひとつの完結した場所だった。
どこまでも孤立しながら、孤独に染まることのない場所だった。
1949年にジョージ・オーウェルは、近未来小説としての『1984』を刊行した。
そして2009年、『1Q84』は逆の方向から1984年を描いた近過去小説である。
そこに描かれているのは「こうであったかもしれない」世界なのだ。
私たちが生きている現在が、「そうではなかったかもしれない」世界であるのと、ちょうど同じように。
パラレルワールドは昔から好きなプロットなので、すんなり読み進むことができました。
BOOK1、BOOK2が良かっただけに尻すぼみにならないよう祈りながら読みました。
解き明かされない謎。リトルピープルや空気さなぎの存在。
違和感を感じ、何かのメタファーとして考えようとすると理解に苦しむかも知れません。
この世界に存在しているものだと、そのまま受け入れてしまえば気にならなくなります。
初期の村上作品の女性は重要な意味を与える役どころでも、思いや気持ちの描写が皆無。
そのために存在感が希薄で、消化不良を感じることもありました。
しかし、今回は青豆という生々しい女性が登場し、赤裸々な気持ちがつづられています。
そこが、これまでの作品とは違う理由のように思います。
Book1、Book2では端役に過ぎなかった牛河が青豆、天吾の2人の主人公と対等の扱い。
Book3の構成の特徴は、三つの物語が並行して展開されること。
主人公の青豆と天吾そして牛河も、登場人物は皆、深い孤独を抱えながら生きてきた。
それが人生の本質なのかも知れません。そんな孤独が少しでも癒される瞬間があれば、
それは稀有で貴重な時間。本書はその貴重な瞬間を見事に描き出しています。
ストーリー展開の見事さ、描写力のすごさ、そして感動的なエンディング。
最後の100ページはジェットコースターのように時間を忘れて読みきりました。
そして心に残ったのは「自分を信じることの大切さと意味」でした。
ある意味ファンタジー「1Q84」久しぶりに村上春樹さんのを読みました。いい作品です。
楽天からも購入できます。
「1Q84 BOOK2(7月ー9月)」村上春樹
「1Q84 BOOK3(10月ー12月)」村上春樹
登場するクラシック曲を集めたアルバム。小説の世界をいっそう鮮明にするJ.S.バッハ、
ブラームス、ハイドン、シューマンなどの楽曲を収録。

楽天からも購入できます。
ヤナーチェク:シンフォニエッタ ~小説に出てくるクラシック
「1Q84」BOOK1 BOOK2 BOOK3 村上春樹
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昨日は腰痛だいぶましになってきたんやけど、用心のため午後休をとりました。
といっても熱がある訳ではないので、
帰省中に買ってた読みかけの本を読んで過ごしました。
「東野ワールド」で培った読書...
奇妙にシンクロしてる。私の友人の20代の女性ですが、村上春樹の「IQ84」という作品と一枚のCDを貸してくれました。なんでも、この小説に出て来るヤナーチェクという作曲家のシンフォニエッタという曲が気...
1Q84 BOOK 1(2009/05/29)村上 春樹商品詳細を見る
時々、夜中に目が覚める。
再び眠れないまま、起きてトイレに行って水飲んでリビングに行く。何気なくTVをつけると、たまたま興味深い番組をやってること...
1Q84 BOOK 1(2009/05/29)村上 春樹商品詳細を見る
レビューは2で。
星は2つ。
2009年09月13日
追記 BOOK1で力尽きる人も多かった1Q84。このシリーズには実は小さなトリックが。解答はBOOK3までお待ちください(笑)。
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・・・解説・・・
心から一歩も外に出ないものごとは、この世界にはない。
心から外に出ないものごとは、そこの別の世界を作り上げていく。
書き下ろし...
数年前から話題になっているとは知っていたが、村上春樹が書く世界をうまく理解できない私は、知らんぷりしていた。映画「ノルウェーの森」の原作本も少し読んで最後まで読めなかった。そんな状況なのになぜ...
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五月末に出版されて、すでに200万部超えているんでしょう?
とんでもなくハイペースのベストセラ...
「1Q84」 book 1・2」
村上 春樹 著
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発売してからじきに購入・・・というわけにはいかず。
うちの小さい本屋ではなかなか重版が回ってこず...
去年あたりに散々さわがれていた.‘1Q84’を読んでみた.
忘れない内に感想を記録.
あんだけ騒がれていたんで,とっても硬派な文なのかなぁ?と勝手に想像してたが割とエキセントリックかつエロッテック...
1Q84 BOOK 1(2009/05/29)村上春樹商品詳細を見る1Q84 BOOK 2(2009/05/29)村上春樹商品詳細を見る
読むぞ!
話題作なので、読んでみました。
2冊とも、お友達のお友達からの借り物でした。
時間軸が歪むような展開や、仮想、空想的過ぎる設定に私が対処しきれないこともあり、
こういった小説は向いていないみたい...
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WELCOME to the 村上ワールド♪ わたくし、これが初の村上春樹氏もの。そっかぁ、こうい...
1984年と言えば プログレ的には
マリリオンが2nd『Fugazi 破滅の形容詞』をリリースしていたが
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内容紹介
1949年にジョージ・オーウェルは、近未来小説としての『1984』を刊行した。
そして2009年、『1Q84』は逆の方向から1984年を描いた近過去小説であ...
完全に物語の中に引き込まれました。小説だということはわかっています。現実にはあり得ないシチュエーションなのですが、そこには実際にあり得るのではないかというリアルな世界があります。
物語とは関係...
『1Q84』
著:村上春樹
職場の同僚に借りて読みました。
やたら長い!・・・けど、続きが気になって、早めのペースで完読。
登場人物にはあまり共感できないけど、面白いのには違いない。
(一番愛着...
心から一歩も外に出ないものごとは、この世界にはない。心から外に出ないものごとは、そこに別の世界を作り上げていく。 「こうであったかもしれない」過去が、その暗い鏡に浮かび上がらせるのは、「そうでは...
昨日は、朝から何もせずゴロゴロ。
ベッドの中で、読書してました。
読んでた本は
1Q84 BOOK 1(2009/05/29)村上 春樹商品詳細を見る
1Q84 BOOK 2(2009/05/29)村上 春樹商品詳細を見る
日本でベ...
話題になっている村上春樹さんの5年ぶりとなる長編小説「1Q84」の発行部数が、上・下巻合わせて100万部を突破したそうです。
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JUGEMテーマ:読書
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作品名:1Q84 BOOK1
作者名:村上春樹
あらすじ
1Q84シリーズ第1弾。
10歳の時に出会って、離ればなれになった青豆と天吾は、
この世界で自分一人で生きていく孤独に耐えながら、
リアリテ...
すばらしい感想記事ですね。
私はまだ全部読んでいないのですが…
やっぱり購入したいと思いました。
これはまさに村上春樹ワールドな小説ですね。