目次
第1部 海堂以前(土壌ー1961年ー1999年/播種ー1999年ー2001年/
発芽ー2002年ー2003年/双葉ー2004年ー2005年)/
第2部 海堂以後(繁茂ー2006年ー2007年/青嵐ー2008年ー2009年/
開花ー2010年ー2011年/飛翔 ほか)
日本の解剖率は2%台で先進国中ぶっちぎりの最下位。
犯罪行為や虐待が見逃される「死因不明社会」解消のためには、
CTやMRIで死体の画像診断をすればいい。
無名医師だった海堂尊は10年前にAi(死亡時画像診断)の概念を思いつく。
「中立、平等、透明、迅速」なAiは、たちまち世に広まるかに思えたが、
そこに立ちはだかったのは厚労省官僚と
解剖に固執する“解剖至上主義者”たちの厚い壁だった。
『チーム・バチスタ』をもしのぐ超興奮、苛立ちと爽快感が入り乱れる、
前代未聞の知的ノンフィクション。
著書が映画化やドラマ化され、いまや医療ミステリーの第一人者となった
海堂尊さんの半生を描いた自伝。ご本業は小説家ではなく現役の医師(病理医)。
筆者の主張は「死体はCTやMRIで撮影して画像診断料を専門家の放射線科医に支払って
後で参照できるようにレポートを残しておきましょう」というものです。
それを東大医学部の某教授を始め、公益より自分の縄張りを大事にする学会上層部、
判断の間違いを認めたくない厚生労働省に如何に邪魔されたかを細かく書いています。
Ai推進の道のりを書いた、膨大なボリュームのドキュメンタリー。
10年以上にわたり、医学界や官僚・警察の抵抗を受けながらもAiの普及に努めます。
エンターテインメントな小説とは裏腹に、全編にわたって毒だらけの内容。
医学界とはそういうところなんだ、官僚や警察・検察はやっぱりそうなんだ――と、
私のような一般市民の興味をかき立てました。
Aiの着想から賛同者を募り立ち上げて行く前半部は速いペースで進んで面白いです。
後半部は新聞や学会資料などの引用が増え読みづらくなってしまい残念です。
今よりもより良い社会を作ろうとすることが如何に大変であるかが伝わってきます。
マスコミの方々含め、小声大声で色々と言っても社会を本当に動かす事は至難の業。
著者の様な、真摯で文字通り命がけの覚悟、努力が無ければ出来ないと知りました。
この本は希有な事に、表現者(作家)が社会を動かした数少ない例です。
社会を少しでも動かそうとするとこれだけの努力、才能、時間がかかると解ります。
それが解るだけでも、読む価値がある良い本です。
ヨシタケシンスケさんの挿絵が絶妙に毒抜きの役割を果たしています。
「ゴーゴーAi アカデミズム闘争4000日」海堂尊さんの凄まじい回顧録です。

楽天からも購入できます。
「ゴーゴーAi アカデミズム闘争4000日」海堂尊
「ゴーゴーAi アカデミズム闘争4000日」海堂尊
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