「先生の隠しごと 僕僕先生」仁木英之

あなたの傷が深いほど、彼の言葉は優しく響く。その名はラクス、
見目麗しき光の王―彼がプロポーズした相手は、なんと僕僕なのだった。
いつもクールな美少女仙人の心が、悲しすぎる愛の記憶でグラグラ揺れる。
お待たせ最新作、中国冒険ロードノベル第５弾。

僕僕先生シリーズの第五作目。前作と同じく今回も長編で読みごたえアリです。
今回はさらに僕僕先生の｢心」にぐっと読者が近づける内容になっています。
いくら仙人でも、その域に達するまでには「人の心」があったはず。
王弁だけに限らず、読者にとってはそんな一面をつい期待してしまいます。
やっぱりあったんですね。それもかなり「切ない」感じの「人の心」が。
明かされる過去の断片によって別人のように揺れ惑う先生。
「ボクの心が曇ってしまって・・・」と困惑するあたり、目を離せません。
僕僕先生の過去に引っ張られてしまう「心の曇り」。
王弁が人間くさい成長ぶりで心を「青空」のある世界へ引き出す展開がいいです。
前作では若干影の薄かった薄妃や劉欣がそれとなく二人を助ける感じも良かったです。
新しい登場人物ラクスに振り回される展開。歴史上での関連を感じさせる記述。
歴史好きなら時代背景まで想像し妄想できるようになっています。
届きそうで届かない、もやもやした感じが続くのもこのシリーズならではですね。
切ない「先生の隠しごと　僕僕先生」仁木英之さんの次が待ち遠しいシリーズです。

先生の隠しごと―僕僕先生 仁木英之

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「先生の隠しごと―僕僕先生」仁木英之