村も母親も捨てて東京でモデルとなった由貴美。
突如帰郷してきた彼女に魅了された広海は、
村長選挙を巡る不正を暴き“村を売る”ため協力する。
だが、由貴美が本当に欲しいものは別にあった―。
辻村深月が描く一生に一度の恋。
音楽をテーマにした高校生のお話かと思っていたら、意外な方向へ進展。
帰ってきた由喜美の憎悪と、腐りきったムラ社会の実態。
ひとつまたひとつと明らかになる過程に、筆者持ち前の筆力から引き込まれます。
高校生の主人公広海の憂鬱、自尊心、優越感。そこに感性の合う大人の女が急接近。
二時間サスペンスドラマみたいな展開。類型的に感じ気になると面白くないでしょう。
由貴美のキャラの方向性が定まらず半端に感じる向きもよくわかります。
が、由貴美の矛盾して見える言動も、強さも脆さも、純粋さも即物的なところも、
全てが本心として様々な要素を含めて成り立つキャラとしてとらえました。
閉鎖的な村から出て、厳しい業界で生きていくことを実践したキャラクターですし、
感情の振れ幅が激しいのもあり得るかなあと。
辻村作品は、精神的な未熟さやそれゆえの痛々しさみたいなものを嫌悪していると
楽しめない作品が結構ある気がします。
社会生活上、表から隠し、本音ではそういう部分が死に絶えていない自覚があると
心にチクチクくるところがあって、なんか読んでしまうという感じです。
でも帯のキャッチコピー「一生に一度の恋」は誤解を生む的外れなものと思います。
鬱屈の「水底フェスタ」辻村深月さんの新境地ですが後味はよくない作品。

楽天からも購入できます。
「水底フェスタ」辻村深月
「水底フェスタ」辻村深月
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水底フェスタ
辻村 深月 (著)
内容(「BOOK」データベースより)
村も母親も捨てて東京でモデルとなった由貴美。
突如帰郷してきた彼女に魅了された広海は、村長選挙を巡る不正を暴き“村を売る”...
水底フェスタ(2011/08/24)辻村 深月商品詳細を見る
21日~23日。
わりと好きな作家さん、辻村深月さんの作品。
タイトル通り、ずぶずぶに暗~い物語。
予想以上に、暗~くて、そして怖~~い物語だ...
辻村深月にしては読み終わった後の余韻がなかったな。いつもは人との繋がりにビックリさせられるのに、それがあまりなかったし。そうストーリーがありきたりすぎる?それか由貴美の動機に作者らしさがなかった所為だろうか?
著者:辻村深月
水底フェスタ(2011/08/24)辻村 深月商品詳細を見る
日本5大ロックフェスタの1つして知られる「ムツシロック」。その会場で、広海は村を捨て、東京でモデルをしていると言う由貴美を発...
水底フェスタ(2011/08/24)辻村 深月商品詳細を見る
村も母親も捨てて東京でモデルとなった由貴美。
突如帰郷してきた彼女に魅了された広海は、
村長選挙を巡る不正を暴き“村を売る”ため協力する。
だが...
『水底フェスタ』 辻村 深月/文藝春秋
村も母親も捨てて東京でモデルとなった由貴美。突如帰郷してきた彼女に魅了された広海は、村長選挙を巡る不正を暴き“村を売る”ため協力する。だが、由貴美が本当に欲しいものは別にあった―。
狭い村の隠蔽体質の深さと、?...
水底フェスタ : 辻村深月
あまりに大好きな辻村深月さんの作品だからこその、3つ。
ある村の、あるときはダム開発であったり、今はフェスの開催で、うまく過疎を食い止めている…そんな日常が舞台。
水底フェスタ 作者: 辻村深月 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2011/08/24 メディア: 単行本 購入: 1人 クリック: 13回 この商品を含むブログ (25件) を見る 夏フェスを誘致して、ジリ貧から一転潤った村に変身した睦ッ代村。村長の息子広海は、夏フェス会場で、村出身の
辻村深月さんの「水底フェスタ」を読みました。
何冊か読んだなかで一番吸引力のある話で、最後まで
ぐっと引き込まれました。
うまいなあ~目が離せない。
と思う一方で苦しい話でした。
閉鎖的...
ちょっとバタバタとスケジュールに追われる読書になってしまい、小説を3冊同時に読んでいた。そのなかの一冊。著者の作品を読むのは初めてなのだが、とても面白いと感じました( ...
こちらからもさせていただきます。
「一生に一度の恋」はやっぱりイマイチですよね……。