光があるから影ができるのか。影があるから光が生まれるのか。
ここに、時代小説でなければ、書けない男たちがいる。
父の遺骸を前にして泣く自分に「武士の子なら泣くなっ」と怒鳴った幼い少年の姿。
作法も知らぬまま、ただ刀を合わせて刎頚の契りを交わした十四の秋。
それから―竹馬の友・磯貝彦四郎の不遇の死を知った国家老・名倉彰蔵は、
その死の真相を追う。おまえに何が起きた。おまえは何をした。おれに何ができたのか。
江戸時代。貧乏で身分の低い主人公と中流階級育ちの才能豊かで将来を嘱望された男。
架空の茅島藩を舞台に幼馴染だった少年二人の厚い友情を描いた物語です。
主人公の少年「勘一」は下級藩士から異例の出世を成し遂げ藩の執政となっています。
その一方で文武に才溢れた少年「彦四郎」は不遇の生涯を終えていました。
物語は家老の勘一が親友彦四郎の死を知って驚愕。過去の回想から進んでいきます。
幾度か気がつかなかった場合も含め危機に直面した時、いつの間にか救われていた。
彦四郎が影となり己の人生を賭けて勘一を助けてくれていたことを悟るのです。
見返りも感謝も求めず、人知れず不遇の生を終えていた彦四郎。
主人公の勘一がその全てを知ったのは既に彼が彼岸に旅立った後のこと。
淡々とした文体で二人の友情を強調せず描写を通して描ききったのが見事です。
武士の矜持と覚悟、そして心の奥深さと命に対する真摯さ。
もはや礼を言うことも誤解していたことを謝ることもできないのが切ないです。
大切な友を思って勘一がたった一人で号泣するラストシーン。
万感の思いが込められていて、私も涙が止まりませんでした。
護る「影法師」百田尚樹さんの男の友情物語。何度も読み返したくなる小説です。

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「影法師」百田尚樹
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『影法師』 著・百田尚樹 講談社文庫 二人の男の絆の物語。単行本には未収録のもう一つの結末(最終章)が巻末袋とじとして付属。
影法師 (講談社文庫)(2012/06/15)百田 尚樹商品詳細を見る
このブログのカテゴリに百田尚樹さんの名前を入れておこうかと思うほど、
何作も読んでますが、
この作品も良かった~~!!...
友よりも文武共にはるかに優れている。どれだけ努力しようとも追いつくことはできない。その友が自分の人生を台無しにしても自分のために全てをかけてくれていたことをその友の死後...
時代物です。百田先生の作品の中では、永遠の0の次に好き。司馬遼太郎や藤沢周平作品を愛読しているとちょっと物足りないかも…
百田尚樹さんの時代小説「影法師」を読みました。
「永遠の0」同様、男同士の絆が深く熱く、最後は泣きました。
以下、ブクログに書きましたレビューにて…。
影法師 (講談
こんにちは(*´-`*)ノ せっかくの土日なのに雨ですね(*´-`*)ノ 今日は
影法師百田 尚樹 講談社 2010-05-21by G-Tools
茅島藩八万石の筆頭家老に抜擢されたばかりの名倉彰蔵は、昔、刎頚の契りを交わした友の磯貝彦四郎の行方を探らせたが、すでに亡くなって
ところで、百田尚樹さんの小説は良いですよね。私の今の一押しです。