片野厚介は新任の中学教師。実家から少し離れた、山間の町の学校に赴任し、
二年生のクラスを受け持つことになった。
ある日、厚介は担任クラスの男子生徒二人に、奇妙な写真を見せられる。
それは、地元の氏神である山宝神社の裏山の洞窟にある祭壇が映っていた。
鎮座しているのは、神の眷属たるオオカミの像。
二人に引っ張られる形で、手掛かりとなった裏山近くの廃ビルに
「探検」に行った厚介たちは、白装束の怪人物に拘束されかける。
あのオオカミの像は、いったいどういう由来のものなのか。
この町と神社には、どんな曰く因縁があるのだろうか。
新米教師が生徒たちともに、複雑な謎の解明に挑む、痛快推理長編。
教え子の笹井と勝又が立入り禁止の神社の裏山で美しい奥宮をみつけたと言ってきた。
トラブルが始まったのは、それがきっかけだった…。
お騒がせコンビの中学生男子が持ち込んだのは、金色に輝くお宮の写真。
その在処をめぐって接触してくる、怪しい組織と、謎の美少女中学生。
降りかかるピンチの連続に、三人は、幻のお宝を守れるのか。
字が大きく振り仮名がよく振ってあるおかげでさくっと一日も掛からず読めました。
単発のミステリー。中学生の男の子二人と、新任の先生の冒険って感じです。
様々な謎が絡み合いスリリングな物語が展開します。考えなしに突っ走る笹井や勝又。
いろいろ裏を考えている厚介は人がよさそうで、まだ若いのが難点。
「そんなに簡単に信じて大丈夫なの?」っていう危うさも、少し感じます。
子供寄りでもなく、かといって、しっかり者の大人とも言えない立ち位置です。
結構真面目に6時間目まで授業をしてからトラブルに巻き込まれたりする厚介。
こうした実生活と地続きのリアリティがいい味を出しています。
はらはらしながらも、こんなにいい人の彼らが不幸になるわけがないという安心感も。
普通にミステリーなので、ジュブナイルとしてはちょっと違和感。
児童書の枠にはなっていないけれど、読みやすいので子どもも楽しめそうです。
新興宗教と村の苦い過去という重くなりがちなテーマ。
平凡な新人教諭と思っていた厚介が冴えた推理をして後半の活躍にはびっくり。
話が入り組んでいたのに、綺麗に解決してすっきりした作品。
無邪気な子どもたちによって、明るい作品に仕上がっていました。
エンディングは夏休み前の期末テスト。季節感もちょうど合っていて爽快でした。
重なり合う現在と過去。二人の少女とその父親の思いが、とても心に残ります。
お宝「かがみのもり」大崎梢さんらしい大団円。軽く楽しくほのぼのできました。

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「かがみのもり」大崎梢
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