時代がどんな暗雲におおわれようとも、あなたという星は輝きつづける――
20代前半で中絶を余儀なくされたデザイナーも、アラフォーながら旅好きの
独身女性二人も、夫をがんで亡くし、娘を嫁に送る直前の50代の母も――
20代から50代後半まで、それぞれの世代の女性が様々な試練や人々のあたたかさに触れる。
娘として母として、女性が誰でもむかえる旅立ちのとき、人生の旅程を指し示す七つの物語。
三十代半ばの文香は、著名コピーライターとして知られた存在だったが、恋愛だけは不器用。
上司との不倫旅行に嫌気がさし、松山へやってきた文香は、ホテルでマッサージを頼んだ。
マッサージの老婆は文香の体に触れながら、戦時中の話を始める。
裕福な貴族院議員の家に生まれた彼女は、
目が不自由だったため、いつも女中のヨネに支えられていた。
彼女が恋をした家庭教師が出征することになり、
ヨネが彼女と家庭教師を結びつけようと…(表題作より)。
二十代から五十代後半まで、それぞれの世代の女性が遭遇した試練や人々のあたたかさ。
娘として母として、女性が誰でもむかえる旅立ちのとき。人生の旅程を指し示す七つの物語。
短編集です。読んでいるうちに、ついうっかり泣きそうになってしまいました。
キャリアウーマンが戦時中を生きて現代に着いた女性の話を聞いてほっとします。
中絶をした若い女性が、ふとこれから父になる若者とあって「いいな」と思います。
夫を亡くして一年過ぎの母が、娘の結婚を前にして、娘夫婦と旅行に来て感じること。
別の時代に、違う場所で、異なる状況で、起こる出来事。
全然違う話が7つあるので、少しずつタイムスリップするような不思議な気分。
形式としては短編集ですが、それぞれがリンクしています。
夜空を見上げたら真っ暗闇じゃなくて1つ星を見つけた。そんな話たち。
少し悲しくて、少しホット。この世界観は「いいカンジ」です。救われます。
切なくて、でもあたたかくて女性ならきっと共感できるはず!と思う描写が随所に。
人生は楽ではないけど、「あ、悪くないな。」と、そんな気分になりました。
そしてそれはまるで繊細な細工の施された宝石みたいな、大切にしたい物語。
「星がひとつほしいとの祈り」原田マハさんの、多くの方に読んでほしい一作です。
目次・椿姫/夜明けまで/星がひとつほしいとの祈り/寄り道/斉唱/長良川/沈下橋

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「星がひとつほしいとの祈り」原田マハ
「星がひとつほしいとの祈り」原田マハ
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