廃部寸前の弱小吹奏楽部を立て直し、普門館を目指す高校2年生の穂村チカと上条ハルタ。
吹奏楽経験者たちに起きた謎を解決し入部させることに成功していた2人だったが、
音楽エリートの芹澤直子には断られ続けていた。
ある時、芹澤の伯母が高校にやって来た。「初恋研究会」なる部に招待されたのだという。
やがて伯母の初恋に秘められた、40年前のある事件が浮かび上がり…(表題作より)。
『退出ゲーム』に続く“ハルチカ”シリーズ第2弾。
ワインにソムリエがいるように、初恋にもソムリエがいる!?
初恋の定義、そして恋のメカニズムとは?
お馴染みハルタとチカの迷推理が冴える、大人気青春ミステリ第2弾!
初恋に秘められた謎(ミステリ)を追え!
吹奏楽の“甲子園”―普門館を目指す弱小吹奏楽部で繰り広げられるチカとハルタの名推理。
『退出ゲーム』の続編にして青春ミステリの決定版。
廃部寸前の弱小吹奏楽部に所属する穂村チカと上条ハルタ。
吹奏楽部の甲子園「普門館」を目指して日々練習を重ねる二人に、難事件が?
話題作『退出ゲーム』待望の続編!
公立清水南高校吹奏楽部所属のチカとハルタが活躍する、連作学園ミステリの第2弾。
前作の1年生時代に引き続き2年生の時代を描く短編集です。
同じ人に恋をするライバルであり、変な三角関係でもあるチカとハルタ。
チカが持ち前の行動力で突破口を開き、ハルタがずば抜けた頭脳で謎を解明します。
一人称の語り手チカがワトソン役、ハルタが探偵役を務めます。
表題作を含めた次の4編を収録。
「スプリングラフィ」春休みの早朝、音楽室に侵入したのは誰。
「周波数は77.4MHz」麻生美里の沈黙と地元FMの相談番組の収録場所。
「アスモデウスの視線」熱血顧問の自宅謹慎と一ヶ月の間に3回も席替えをした謎。
「初恋ソムリエ」寓話仕立てで語られる、チカの後輩の伯母の初恋相手と犯罪。
奇矯なキャラクターたちのコミカルな掛け合いというオブラートに包まれて
提示されるのは、心に傷を負った社会的弱者たちの「癒しと再生」。
語り口の巧さもあると思いますが、涙と感動を誘う中身を嫌味に感じさせないのは、
作者さんも、本作が一種のファンタジーであることを自覚しているからでしょう。
でも打ち出されている真摯なメッセージは、掛け値なしの本音という気がします。
この作品集の特徴は、冒頭の謎からは想像つかないような思いがけない結末が
用意されていることと、その解決の鍵が「学園」の外にあることです。
小説の舞台の学園という小さな社会を飛び出した世界に解決の糸口があるのです。
中でも表題作は極めて社会性の強いものとなっています。
なので、主人公と等身大の高校生の読者にはピンとこないのではとも思います。
誰でも経験したことのある席替えに推理小説的なパズルの要素を持ち込んだ三つ目。
浮かび上がってくる秘密は、よい意味で「学園ミステリ」らしくない仕上がりです。
ちなみに単行本の表紙、ラブレターを後ろ手に隠した写真は内容とかけ離れています。
このイメージでミステリをあまり読んでない人が読んだら気の毒な気もします。
文庫版で表紙が替えられているのは、そのせいもあるかも。
朝霧亨が「初恋ソムリエ」初野晴さんの、この先も楽しみな学園ミステリです。


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早速、私からもトラックバックさせて頂きました。
初めてやってみたので、ちゃんとできたでしょうか?
今後も、よろしくお願い致します。