ベストセラー作者が放つ、新・戦国エンターテインメント第二弾!
少年が、左構えの銃を手にした瞬間、世界は変わる。
一五五六年。戦国の大名がいまだ未成熟の時代。
勢力図を拡大し続ける戸沢家、児玉家の両雄は、もはや開戦を避けられない状態にあった。
後に両陣営の命運を握ることになるその少年・小太郎のことなど、知る由もなかった―。
舞台は戦国期。戸沢家と隣地の児玉家の争いの中に競い合う両雄。
戸沢家の猛将、林半右衛門と児玉家の「隠れなき勇士」花房喜兵衛。
同じ時代に生まれたふたりの、力量ある者同士の戦の駆け引きのみならず、
お互いの力を認め合い、敵対関係にありながらも心を通わせる姿は実にお見事です。
無類の勇敢さで打ち勝つ猛将、主人公的な林半右衛門の人間性の描き方が素晴らしい。
如何にしても勝てない、自らの心の内に潜む自責の念をとてもうまく描いています。
小太郎を巡る成り行きを、敵方で命をかけて戦う相手の花房喜兵衛に信頼して託す。
今とは全く違う戦国時代の武士の考え方が見事に表現されているように感じるのです。
「この時代にそんな美学は実際にあったのか?」などという勘ぐりは一切捨て、
無心でその世界にひたることをお勧めします。
また半右衛門と戸沢家の当主、利高の甥、図書の確執や、背景の一人の女性の存在。
現代ドラマなどでも見られますが戦国期の世を舞台にすると、また趣が変わります。
戦う者の人間臭さを描くことでキャラクターの魅力を引き出している様子が伺えます。
そしてこの作品の見どころのひとつは、半右衛門と小太郎の出会い。半右衛門曰く、
「この小僧は馬鹿なのではない。馬鹿が付くほど優しいのだ」という小太郎。
その才能ゆえ戦乱の世に巻き込まれる様子は、読んでいてとても胸が痛みます。
小太郎の左腕から放たれる種子島の描写など、合戦場の様子を想像できます。
著者の本は読んで映像を頭に描くことでその世界の臨場感を味わう小説なのでしょう。
登場人物の人物像や場面を映像として頭に思い描くことの楽しさを教えてくれます。
『痛快』という表現が適切で、エンタメ小説として価値あるものだと思いました。
放つ「小太郎の左腕」和田竜さんの戦国娯楽絵巻。ラストシーンは更に壮絶です。


楽天からも購入できます。
「小太郎の左腕」和田竜
「小太郎の左腕(小学館文庫)」和田竜
「小太郎の左腕」和田竜
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和田竜さんの『小太郎の左腕』を読みました。「のぼうの城」「忍びの国」に続く第3作目にして最新作。個人的には「のぼうの城」に続く読書となります。では簡単にアラスジです。
...
ご訪問ありがとうございます☆
小太郎の左腕(2009/10/28)和田 竜商品詳細を見る
予想以上に楽しめました。以下書籍帯よりあらすじ。
1556年。戦国の大名がいまだ未成熟の時代。勢力...
のぼうの城の作者。
読みやすくリアルに状況が伝わってくる。そ
ういう設定なので仕方がないが、みんな単純すぎる。
小太郎の左腕 (小学館文庫)(2011/09/06)和田 竜商品詳細を見る
ずーーーーーっと前に読んだ、和田竜氏の『のぼうの城』がすごく面白く、映画化される(犬童監督!)ということで、密かに?公開を楽しみにしていたのだけど・・・・
な、なん ...
JUGEMテーマ:読書★★★★(4/5)あらすじ少年が、左構えの銃を手にした瞬間、世界は変わる。一五五六年。 戦国の大名がいまだ未成熟の時代。勢力図を拡大し続ける戸沢家、児玉
小太郎の左腕和田 竜
内容(「BOOK」データベースより)
一五五六年。戦国の大名がいまだ未成熟の時代。勢力図を拡大し続ける戸沢家、児玉家の両雄は、もはや開戦を避けられない状...
2009年の作品。戦国時代(といっても割と初期の頃)、西国に戸沢という大名の侍大将に林半右衛門という豪の者がいた。彼は、強盛を誇る隣国の児玉氏の侵略を跳ね返すべく戦 ...
『のぼうの城』『忍びの国』と順に読んできたが、これがいちばん面白かったかな。まあ、ライト歴史小説でしかないが。 ・内容紹介(文庫裏表紙より) 1556年。勢力図を拡大し続け
著者 和田 竜
1556年。勢力争いを続ける武家の戦に現れた左構えの種子島に絶妙の腕前をみせる11歳の少年小太郎。戦局を変えるその銃弾が導き出す結末とは・・・
作品名:小太郎の左腕
作者名:和田竜
装画:オノ・ナツメ
あらすじ
一五五六年。戦国の大名がいまだ未成熟の時代。
勢力図を拡大し続ける戸沢家、児玉家の両雄は、
もは
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