本田貴世、39歳、独身、作家。「三十代独身女性が奮闘する小説」の続編小説を書きあぐねていた。悪戦苦闘は男性経験の少なさゆえか。まずは取材と参加したのは「蕎麦打ち合コン・バツイチ編」男四人、女四人の会。しかし貴世は突然の蕎麦アレルギーになったのか、担ぎこまれて病院へ。倒れた時に手を握ってくれていたのは映像作家の福原。彼も取材だった。福原のDVDを観たことが貴世に何かをもたらした。「だいたい四十歳」の二人が惹かれあい、確かな愛を感じ、結婚することになった。が、結婚パーティの場で貴世は「・・・結婚するのをやめようと思います」と話しだした・・・。貴世の真意は、福原はどうするのか。さまざまな愛の形があるがこれも愛のかたち。笑いのなかに描いた結婚小説。
39歳の売れない小説家・本田貴世は担当編集者の指示で「結婚小説」を書くことに。
結婚もしたことないし、恋愛も最近はご無沙汰気味だし、どうすればいいのか。
取材兼合コンに参加して、大失敗にもかかわらず、その時男性陣の中にいた、
ドキュメンタリー映画監督の福原という男が、また連絡を取りたいといってきます。
今の女性のありようを、自虐ネタもおりまぜながら明るくからりとした筆致で、
一組の男女が出会って結ばれるまでを、てきぱきと描いたユーモラスなお話です。
昨今の事情をかんがみながら、「結婚」というものに対する考えを作っていきます。
物事をどんどん現実的に見るようになっていく主人公・貴世の心の動きに注目です。
一番共感したのは、ヒロインの友達の独身仲間のせりふ。
「とにかく、結婚するとダンナ教に入信したみたいになって自分がなくなるじゃん。
あれがヤなんだよね。私は彼氏や夫がいても一人でいる時間が欲しいし、
お互いに自分の世界を持ってて勝手にやってる感じが理想だな」
他にも、なにげなく名言が多かったですね。
「女の愛情は独占欲で、男の愛情は責任感」なんて、なかなか説得力あるような気が。
俗に「男と女の間の深い川」みたいな分かり合えない部分の架け橋になる格言かも。
単純に、ヒロインが結婚して幸せになりましたとさ的な物語ではないのが良いです。
結婚はゴールです、という描き方じゃないところに好感が持てます。
この物語では二人とも一定の結論を出していますが、これもまた今の時点での話。
10年後20年後や、もし社会ががらりと変わった時どういう関係に変化しているか。
結婚がハッピーエンドで終わる話は多いですがその先の人生もあります。
結婚=ハッピーではないはず。この物語が本当にハッピーエンドとなるかは未定。
焦りを助長するコンカツブームに反してるところがむしろすがすがしいと思います。
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